三井住友信託銀行株式会社が、2021年9月22日に終活サービスに関する記者発表会をオンライン上で開催した。これまでも終活サービスを手がけていた同社が、さらにサービスのラインナップを拡充させるということが発表された。
三井住友信託銀行は、2019年4月に長寿社会に対応するための「人生100年応援部」を創設。2019年12月には終活ワンストップサービス「おひとりさま信託」の取扱を開始するなど、終活マーケットにおける様々な商品・サービスを提供している。
今回の記者会見では、終活市場の現状に関する分析も紹介された。それによると、2021年の100歳以上の人口は8万6510人と過去最高のものとなり、そのうちの7万6450人が女性で、女性は約9割を占めている。
100歳以上の高齢者の人口は51年連続で過去最多を更新し、高齢化はますます加速化している。しかも、2040年には65歳以上の世帯のうち、「単独世帯」「夫婦のみの世帯」が全体の7割まで増加すると予測されている。身近に頼れる人がいない高齢者が増えると見られている。
こうした状況の中、「事前にできることはやっておきたい」と考える人が増え、終活はますます注目を集めているのだ。
人生を生き生きと過ごすための準備
記者会見では、終活には「亡くなった時のための準備」と「人生を生き生きと過ごすための準備」という2つの側面があることも紹介された。
「亡くなった時のための準備」は、遺品整理や医療費の精算、資産を誰に残すかなどに関するものである。こちらは亡くなった後のものなので、誰かに頼んでやってもらうことになる。
「人生を生き生きと過ごすための準備」は、断捨離、ペットとの生活、住まいの選択などQOL(クオリティ・オブ・ライフ=人生の質)の向上に関するものだ。こちらは、自分で準備できるものである。
今回の記者会見で発表された新サービス「遺言信託(ペット安心特約付き)」と「ハウジングウィル」は、「人生を生き生きと過ごすための準備」に関連したものとなっている。
ペットとの生活、住宅ローンと遺言の組み合わせ
「遺言信託(ペット安心特約付き)」は、年齢などが原因でペットを飼うことをあきらめた人のためのサービスだ。犬と猫が対象で、申込者が亡くなった場合には、ペットを受遺者に引き渡し、遺贈資金を交付する。
ペットの食事や健康、性格などについて細かく記載した「ペット手帳」も残せる点も安心だ。
「ハウジングウィル」は、住宅ローンと遺言を組み合わせたサービスで、金融業界でも初めてのものである。住宅ローンを申し込む際に遺言書を三井住友信託銀行が預かり、申込者が亡くなった場合は三井住友信託銀行が家庭裁判所へ遺言書の検認の申立をする。その遺言書に「自宅を妻に相続する」と記載してあれば、夫が亡くなった場合は、妻が単独で自宅を相続することができるのだ(遺言がなければ、自宅は法定相続人の共有となる)。
三井住友信託銀行は終活に関するサービスの一環として、冊子「シニア世代応援サポート シニア世代の住まいを考える 3.0」を配布している(https://www.smth.jp/sustainability/Initiatives_achievements/aged_society5)。
この冊子では、高齢者がQOLを維持・改善しながら暮らすための住宅のポイントが分かりやすくまとめられている。よりよい老後の人生を送るために住宅について考えたいという人は、まずこちらをチェックするとよいだろう。