香ばしいラードの香りに、サクサクの衣。ジューシーな肉のウマミと脂の競演。ソースをたっぷりとかけてアツアツのご飯と一緒に頬張れば……

そんな料理の味わいを想像するだけで唾液が溢れてくる料理の1つと言えばトンカツだ。

日本全国に数多のトンカツ店があり、そのお店そのお店が独自の工夫を凝らしており、一番美味しいトンカツを決める事は難しいに違いない。

例えば、蒲田の名店「丸一」同じく蒲田で人気の「檍(あおき)」、そして浅草橋の「丸山吉平(まるやまきっぺい)」などは、林SPFという豚肉ブランドを知っている方からすれば、当然おいしいトンカツ店と言えるだろう。

また、東京・秋葉原の名店といえば「丸五(まるご)」であるし、トンカツ発祥の地といえば、東京・銀座の煉瓦亭(れんがてい)である。さらには、ミシュランの星を獲得した絶品のトンカツを味わえるお店、世田谷区玉川の「大倉」も捨てがたい。

もちろん東京だけではない。

例えば、広島のソウルフードの1つといってもいいほどの名店「肉のますゐ」のトンカツに、長野県木曽町にひっそりとたたずむ「しらかべ」のパンケーキのようなトンカツ、そして新潟タレかつ丼発祥の店、新潟県・新潟市「とんかつ太郎」など、全国に目を向ければ、数え上げる事すら難しいのだ。

そんな日本各地に存在するトンカツの名店の中から、今回は東京の食べログランキングでトンカツ部門で1位をキープしつづけるお店をご紹介したい。

お店の名前は「成蔵(なりくら)」。

・高田馬場駅から徒歩3分でたどり着ける至高のトンカツ店、それが「成蔵(なりくら)」
こちらのお店、高田馬場駅のランドマークとも言えるBIG BOX(ビッグボックス)から徒歩3分の所にあるお店。

非常に人気店のため、いくつかルールがあるのだが、取り立てて守る事が難しいルールは存在していない。

注意すべきポイントは2つで、こちらのお店は予約ができない、ということと、全員揃ってから待ち行列に並べない、ということだけ。

その2つに気をつけてお店の列に並べば、おおよそ30分から1時間で、これまで食べてきたトンカツとは異次元のトンカツに出会う事ができる、そんなお店こそ、こちらの「成蔵(なりくら)」なのだ。


・異次元のトンカツ、それが「成蔵(なりくら)」のトンカツ
そんな「成蔵(なりくら)」は、まずお店の中に入るだけで、通常のトンカツ店とは違うことが分かる。

まずは匂い。高温で揚げないためか、油の匂いをほぼ感じる事が無い。

そして音だ。通常のトンカツ店ではパチパチと水分が蒸発していく音が聞こえてくるのだが、一切そういった音はしない。静かなジャズが流れ、ゆったりとした時間でトンカツを待つ、まさにこの待っている時間そのものも、「成蔵(なりくら)」の美味しさの1つなのかもしれない。

そして肝心のトンカツだが、もちろんそのトンカツも通常のトンカツとは違う。

ふわりと柔らかい生パン粉をまとった最高の豚肉を、極低温の油の中でじっくりと火を通していくこちらのお店ならではの調理方法は、温度こそ違えど、まさにフレンチのコンフィに似ている。

油の中に入れた豚肉は、店主が片時も目をはなすことなく火加減を調整し、15分程度じっくりと揚げられる。そして油の中から引き上げられたトンカツは余熱によってゆっくりと熱が加えられるのだ。

そんな手塩にかけて、おいしいトンカツに育てられたトンカツは、まさに芸術品と言っても過言ではないような真っ白なトンカツとなっており、見た目からも他のトンカツとは一線を画す。

そして、実際にひとくち味わえば、このトンカツが見た目だけではない事がはっきりと分かる。

衣はサクッと香ばしく、しっかりと食べ応えのある豚肉の味わいを感じるのだが、その刹那、口の中いっぱいに豚肉のウマミが溢れ出し、トンカツがまるで消えてなくなるかのような感覚を覚える。と同時に、豚肉がもつ本来のウマミや香りを後味としてしっかりと残してくれる。

まさに、至高のトンカツがここにはあるのだ。


・ロースも絶品だが「シャ豚ブリアン」もオススメ
こちらのお店では美味しいロースのトンカツもオススメなのだが、豚肉のヒレのなかでも、最も柔らかい部位をつかった「シャ豚ブリアン」のカツもオススメ。

はちきれんばかりに美味しい肉汁をたたえた「シャ豚ブリアン」のカツは、ひとくち噛み締めると一気に口の中に肉汁が弾け飛ぶ、まさにトンカツでありながら、小籠包のような料理となっている。

ヒレ独特のしっかりとした噛み応えのある豚肉の食感に、肉本来が持つ強いウマミ、そしてジューシーな肉汁が一気に口の中に広がったと思ったその瞬間に、まるで溶けてなくなってしまうかのような感覚を覚える、美味しさが強く後引く味わいとなっている。



そのまま食べても美味しいのだが、テーブルにある塩を少々、そしてマスタードをたっぷりとつけて味わってみれば、また別ものの味わい。

あまりにも肉汁がジューシーであるため、少量のマスタードではマスタードが負けてしまう、そんなトンカツは、東京広しといえども、なかなか存在しないだろう。

もちろんお店特製のソースも非常に美味。

マスタードと一緒にあじわってもいいだろうし、ソースをたっぷりとかけて味わってもしっかりと肉汁を感じる事ができる。

逆にソースと肉汁が融合してえも言われぬ味わいを堪能できるのだ。


もし、本当に美味しいトンカツを味わってみたい、そんな衝動に駆られたのなら、こちらのお店を訪れてみてはいかがだろうか?

これまで経験したことのない衝撃のトンカツを味わってしまったら、もはやその美味しさを忘れる事ができないに違いない。

そんな忘れる事ができない美味しい食べ物を求めて旅をする、次の休日はそんな旅をしてみるのもいいかもしれない。

Post: GoTrip! http://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア

お店 成蔵(なりくら)
住所 東京都新宿区高田馬場1-32-11 小澤ビルB1F
営業時間
【月~水・金・土・祝・祝前】
ランチ 11:00~ (L.O.14:00) ※予約不可
【月~水・金・土・祝・祝前】
ディナー 17:30~ (L.O.21:00) ※予約不可
定休日 木・日曜日
お店のtwitter https://twitter.com/narikura_1010
※お伺いするときはTwitterの情報を確認することをオススメします。特別メニューなどの情報が掲載されています。また座席の予約ができない点、ならびに、待ち行列は人数が揃ってから並ぶ必要がありますので、その点はご注意ください。