地中海の美しい風景を楽しめることで人気上昇中の島国、マルタ共和国。

マルタといえば、世界遺産にも登録されている首都のヴァレッタが有名ですが、郊外にも伝統的な風景を残す美しい町々があります。

マルタを旅するなら一度は訪れてみたい場所のひとつが、マルタ本島最大の漁村であるマルサシュロック。エメラルドブルーの海に極彩色のボートが浮かぶ、絵のような風景が楽しめる可愛らしい村です。

マルタ語で「マルサ」とは「港」のこと。それに北アフリカから地中海を超えてイタリアに吹く風「シロッコ」が合わさって、「マルサシュロック」になったのだとか。

この深い入江は侵入者にとっては格好の標的で、大包囲戦初戦のオスマントルコ軍が上陸したのも、ナポレオン率いるフランス軍が上陸したのもこの港でした。

戦争の歴史の舞台になったかと思えば、ブッシュ大統領とゴルバチョフ大統領が冷戦の終結を宣言した「マルタ会議」が行われたのもここ。風光明媚なマルサシュロックは、重大な歴史ドラマが繰り広げられてきた場所でもあるのです。

マルサシュロックへのアクセスは、首都のヴァレッタから81、85番のバスで40~50分程度。マルタの主要観光スポットを結ぶ観光バス「Hop on Hop off Bus」の利用も便利です。

マルサシュロックに到着すると真っ先に目に飛び込んでくるのが、港に浮かぶカラフルな漁船。

これらは「ルッツ」と呼ばれるマルタの伝統的な小舟で、赤、緑、青、黄色を使った鮮やかな配色が地中海に映え、なんともフォトジェニックです。

絵具の「水色」を垂らしたようなブルーの海と、極彩色のボートが織り成す風景はどこか幻想的。この風景を目にしただけで、おとぎの世界に迷い込んだような気分になります。

マルサシュロックで特徴的なのが、漁船の前面に一対の「目」が描かれていること。これには、悪天候や不漁から漁師たちを守る魔除けの意味があり、古くはフェニキア人から伝えられたともいわれています。

かつてはマルタ全域でこうした漁船が使われていたといいますが、現在でもこの舟を使用している地域は少なく、マルサシュロックで見られる光景は貴重なものになっています。

一見飾りのようにも思えますが、マルサシュロックではこれらのカラフルな小舟は今も現役の漁船として使われているのです。

地中海沿岸の漁村だけあって、村の雰囲気はとっても明るくのどか。地元の漁師さんたちが働く日常風景が随所に見られるマルサシュロックは、観光地でありながら素朴な空気が漂い、居心地抜群です。

マルサシュロックといえば、マーケットの開催地としても有名。

マルサシュロックのマーケットには、「ウォーターフロントマーケット」と呼ばれる土産物が並ぶマーケットと、「サンデーフィッシュマーケット」のおもに2種類があります。

ウォーターフロントマーケットの開催は不定期で、遭遇できたらラッキー。

国土が狭く、人口も少ないマルタでは、物資の多くを輸入に頼っており、マルタ産の商品が買える店は必ずしも多くありません。

リネンやはちみつ、オリーブオイル、ハーブティーなど、マルタの名産品が手に入るマルサシュロックのウォーターフロントマーケットは、お土産探しにもぴったりです。

サンデーフィッシュマーケットは、その名の通り日曜日に開催される魚市場。9時~15時半ごろまで、海産物や野菜、花などを売る大規模なマーケットが開かれ、地元の人々や観光客でにぎわいます。

せっかくマルサシュロックにやってきたら、フォトジェニックな町並みを海上から眺めてみましょう。

マルサシュロックでは、昔ながらの小舟でクルーズするボートトリップが用意されています。

20分ほどで港を周る5ユーロのコースと、1時間ほどで灯台や岩場に囲まれたビーチなどを周る10ユーロのコースがあり、いずれの場合もハチミツ色の町並みをバックに、カラフルな漁船が浮かぶ港の風景を楽しむことができますよ。

海上から眺めるマルサシュロックの風景は格別。近くから見ると、舟にもさまざまな「顔」があることがわかります。

時間に余裕があれば、1時間のボートトリップでマルサシュロックの港から少し離れた場所へと繰り出してみるのも楽しいもの。灯台や塩の工場、岩場に囲まれた天然の聖ピーターのプールなど、美しい地中海の風景がたっぷりと堪能できます。

マルタの海は透明度抜群で、ただ海を眺めているだけでも感動モノ間違いなし!「

ヴァレッタやスリーマから日帰りで、半日もあれば観光できるマルサシュロック。

マルタを旅するなら、「マルタで最も絵になる村」とも呼ばれるフォトジェニックな漁村の風景に会いにいきませんか。

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