南ドイツのブラウボイレンという小さな町には、見るものを惹きつけて離さない神秘的な青い湖「ブラウトップフ」があります。一言に「青」と言っても、天候など条件によって様々な表情を見せる不思議な湖。絶景ハンターの皆さんにはぜひ足を運んでいただきたいスポットです。
ブラウトップフは深さ22メートルの湖。周辺の地域に降った雨が石灰質の地面に浸透し、それが地下水としてここに湧き出ています。1秒間に湧き出る水の量は約2,000リットルにもなり、多い時ではその量が約32,000リットルまで増加。
これだけの水が一気に地下から湧き出ているのに対し、水面はまるで鏡のように波ひとつ立っていません。微動だにしない水面を眺めていると、まるでここだけ時が止まったかのような感覚に襲われます。
水面だけ見ると一見なにごともないかのようですが、じつは水中ではこの瞬間もこんこんと地下水が湧き出し、すさまじい勢いで一段下にある池に流れ出しています。実際湖の脇に立っていると、水が流れ出す音がまるで轟音のように響くのが聞こえます。
さて、ブラウトップフがなぜ青いのか、皆さんも気になりませんか?ブラウトップフには「誰かが青いインクをこぼした」なんて伝説もありますが、これはまるっきりの嘘。
ブラウトップフが青く見えるのには、水中に含まれる石灰成分が大きく関係しています。簡単に言ってしまえば、この成分が太陽光を散乱することで湖が青く見えるというもの。このように光の波長より小さな微粒子によって発生する散乱は「レイリー散乱」と呼ばれ、空が青く見えるのも同じ原理なのです。
またブラウトップフはその時々によって異なる「青」をみせる不思議な湖。筆者が訪れた際はターコイズブルーの湖でしたが、ウェブで検索すると吸い込まれるような濃い青色をした湖の写真がいくつも現れます。これはどういうことなのでしょうか?
ブラウトップフが透き通った濃い青色の姿を見せるのは、長いあいだ雨が降らず、水中が落ち着いているとき。逆に雨が降った後は水中にこれら成分が舞っている状態になり、それらが太陽光を反射することでターコイズブルーに見えるのです。
見るものを惹きつける青い湖ブラウトップフ。青さの秘密が科学的に証明されているとはいえ、「ここに聖霊がすんでいるのでは?」と思ってしまうほど神秘的な光景がそこに広がっています。
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