モーゼルワインの町、そして中世から続く整った街並みを伝える貴重な場所として、多くの観光客が訪れるベルンカステル・クース。町のハイライトといえば旧市街のマルクト広場ですが、町から少し離れたブドウ畑の上にも言わずと知れた絶景スポットがあるのです。
それが、今回紹介するランツフート城。廃墟として残る城からは、目の前で大きくUの字にカーブするモーゼル川の絶景が楽しめます。
ランツフート城へは、マルクト広場の脇にある細い道を上っていきます。幅の狭い写真の家を目印にすると分かりやすいでしょう。
しばらく進むと、町から抜けてワイン畑の中へ。ここからは坂道もきつくなり、頭上からはサンサンと太陽が照りつけます。
道中の景色を楽しむのも忘れずに。ブドウの間から見えるのは、先ほどまでいた旧市街。
町から城までは約600mの距離ですが、坂道を上っていくので実際はもっと長く感じるかもしれません。体力に自信のない方は、町から走っているミニ機関車の利用も検討してみてください。
ランツフート城の歴史は、今から2000年以上前のローマ時代にまで遡ります。かつてローマ人が防衛目的で築いた城塞が、後に城の基礎となりました。現在の建物はトリーア大司教により13世紀頃に築かれたといわれています。
ベルンカステル・クースには「病気を治すワイン」の伝説が残っていますが、その中で大病を患っていた大司教が滞在していたのがこの城。1692年の火災により城は焼け落ち、その後再建されることはありませんでした。
廃墟となった城は1920年から町の所有となり、現在はその雰囲気を活かしてレストラン・カフェとしても使用されています。
城の塔にも登ってみましょう。らせん状の階段を上っていくと、目の前に広がるのは大きくカーブを描くモーゼル川。川沿いの斜面にはぶどう畑が果てしなく広がり、その迫力には息を飲むほど。ワイン一大産地としての威厳さえ感じさせます。
筆者が訪れたのは夏だったので、ブドウや木々の葉が青々と茂る爽やかな景色が楽しめました。秋になるとこれらが黄色く色づき、風景も哀愁あるものへと変わっていくのです。
2000年前のローマ人や中世の城主も見ていたであろう、モーゼル川の絶景。雄大な流れを称えるモーゼル川は、過去と変わらぬ姿のままで今日も訪れる者を魅了しています。
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