地中海の真ん中に浮かぶ島国、マルタ。

その面積は東京23区の半分ほどしかないものの、世界でも有数の長い歴史や美しい街並み、紺碧の海など、あふれんばかりの魅力が詰まった国です。

治安の良さも手伝って、近年は日本でも人気・知名度とともに上昇中。いま気になる、マルタでしたい8つのことをご紹介しましょう。

・世界遺産の街ヴァレッタを散策

マルタ旅行のハイライトのひとつが、歴史的な街並みがまるごと世界遺産に登録されている首都ヴァレッタ。聖ヨハネ騎士団が1565年の大包囲戦に勝利した後に築いた城塞都市で、海に浮かぶ要塞のような姿は、映画やRPGの世界を思わせます。

堡塁と城壁に囲まれた東西約1キロ、南北800メートルの街には、「マルタストーン」と呼ばれるはちみつ色の石灰岩の建物が300以上も並び、ほかのどの街にも似ていない異色の風景を造り上げています。

その姿をひと目見たら、「現代にこんな街並みが残っているなんて!」と驚くはずです。しかもそれが一国の首都とは・・・

そんなヴァレッタは、街歩きの楽しさが凝縮された街。

メインストリート周辺には、騎士団が造った壮麗な建造物が点在し、起伏の多い細い路地の両側には、マルタ独特のカラフルな木製の出窓をもつ家々が並び、見る者の目を楽しませています。

よく「タイムスリップしたかのような」という表現が使われますが、ヴァレッタの街並は、単に時をさかのぼったというよりも、まったくの別世界にワープしたかのような気分にさせてくれます。

・聖ヨハネ騎士団の足跡をたどる

マルタの歴史と切っても切れない関係にあるのが、聖ヨハネ騎士団の存在。オスマン帝国の襲撃によりロドス島を追われた騎士団が、イタリアやフランスなどを転々とした後に新たな本拠地としたのがマルタでした。

1530年にマルタにやってきた聖ヨハネ騎士団は、商業と貿易の振興に努め、マルタ経済を潤します。1565年には、3ヵ月間の猛攻に耐え、数では圧倒的に不利だったオスマン帝国軍との大包囲戦に勝利。本拠をスリーシティーズからヴァレッタへと移し、ヴァレッタの街を整備します。

現在、ヴァレッタを代表する歴史的建造物の多くは、この騎士団支配の時代に建てられたもの。

その代表格が聖ヨハネ大聖堂で、要塞のような質実剛健とした外観からは想像もできないほど、内部には豪華絢爛な世界が広がっています。その空間をひと目見れば、当時の騎士団がいかに隆盛を誇っていたかがわかるでしょう。

ほかにも、騎士団長の宮殿やマノエル劇場、聖エルモ砦、騎士団施療院など、ヴァレッタにはいくつもの騎士団ゆかりのスポットが残っています。

それらを訪ね歩きながら、波乱万丈の騎士団の歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

・ボートでスリーシティーズに小旅行

マルタ島で訪れるべきは、ヴァレッタだけではありません。海を挟んでヴァレッタと向かい合っているのが、スリーシティーズ。

ヴィットリオーザ、セングレア、コスピークワという隣り合う3つの町の総称で、マルタにやってきた騎士団が、ヴァレッタに先駆けて要塞化した町です。

聖ヨハネ騎士団がマルタで最初に築いた城塞都市が、ヴィットリオーザ。岬の突端に築かれた巨大な聖アンジェロ砦は、有名な1565年の大包囲戦の舞台となりました。

現在は、華やかなマリーナや地中海の美しい風景を望む、絶好のビュースポットとして多くの旅行者を迎え入れています。

目と耳のついた監視塔ヴェデッテがあるセングレアのセーフ・ヘブン公園からは、ヴァレッタの美しい街並みが一望できます。

スリーシティーズへは、ヴァレッタからボートで行くのがおすすめ。ヴァレッタからはフェリーもありますが、フェリー乗り場近くから出ているボートに乗れば、フェリーと大差ない料金でよりプライベート感あふれるボートの旅が楽しめます。

・古都イムディーナを訪ねる

ヴァレッタに遷都される以前、マルタの首都だった古都がイムディーナ。こぢんまりとした町ながら、最盛期には24もの貴族の館が並んでいたといいます。

「静寂の町」の異名をもつこの町は、内陸に位置するためか、にぎやかなヴァレッタや開放感のあるスリーシティーズとは異なる雰囲気に包まれています。

城壁に囲まれた町に足を踏み入れると、細い路地の両側にマルタストーンの家々が並び、中世にタイムトラベルしたかのよう。ひと気のない小路を歩いていると、時が止まってしまったかのような感覚にとらわれます。

イムディーナの城壁の外には、かつてイムディーナの一部だったラバトの町があります。難破した聖パウロが隠れていたといわれる聖パウロの洞窟や、マルタ最大の地下墓地である聖パウロの地下墓地などが見どころ。

イムディーナとラバトは徒歩ですぐに行き来ができるので、2つの町をあわせて訪れるといいでしょう。

・マルサシュロックでおとぎの世界に迷い込む

マルタ島最大の漁村、マルサシュロック。船の前面に一対の目が描かれた「ルッツ」と呼ばれるカラフルなボートが停泊する、マルタで最もフォトジェニックな漁村です。

エメラルドグリーンの海と、色とりどりのボートの共演がなんともカラフルで、おとぎの国に迷い込んだかのような気分に。

毎週日曜日には大規模な魚市場が開かれることで知られ、不定期にレース製品などをマルタ土産が並ぶマーケットも開催されます。

・世界遺産の巨石神殿で歴史ロマンを体感

離島も含めると30ほどの巨石神殿が残るマルタ。1980年と1992年に、マルタの巨石神殿群は世界遺産にも登録されました。

その歴史は古く、最も古いとされるゴゾ島のジュガンティーヤ神殿は、エジプトのピラミッドよりも古い、紀元前3600年頃に建造されたといわれています。

どうやって巨大な石が運ばれたか、重機やセメントを使わずにどうやって組み立てたのか・・・いまだ謎に包まれた遺跡は歴史ロマンをくすぐります。

ヴァレッタから近く、保存状態も良いものが、紀元前3000~2500年に造られたとされるタルシーン神殿。3つの部分からなる神殿で、豊穣の女神像や、うずまき模様のレリーフなどが印象的。

神殿に展示されている発掘品のほとんどはレプリカなので、ヴァレッタの国立考古学博物館を訪ねてオリジナルを鑑賞するのも忘れずに。

・離島に足をのばす

マルタの魅力を存分に味わうなら、マルタ本島だけてなく離島にも足を延ばしてみましょう。

マルタは、おもにマルタ島とゴゾ島、コミノ島の3つの島からなる国。首都ヴァレッタを擁するマルタ島は最大の面積を占め、ゴゾ島はマルタ島の北に位置。コミノ島は、マルタ島とゴゾ島のあいだに位置するほぼ無人島の小さな島です。

ゴゾ島は人口約3万7000人ののんびりとした風情の残る島。大城塞が残る首都ヴィクトリアでは、歴史にふれる町歩きが楽しめます。

コミノ島は、3キロ平方メートルにも満たない小さな島で、人はほとんど住んでいないため、手つかずの自然が残されているのが魅力。

世界屈指の透明度を誇るブルーラグーンで知られ、あまりにも透明度が高いゆえ、ボートの影が水底に落ち、宙に浮かんで見えるという光景が話題になっています。

時間が限られている場合は、スリーマから出るゴゾ島とコミノ島を一日で周るツアーに参加するのも手。

・かわいい猫たちとふれあう

かわいらしい猫たちに出会える「猫スポット」として知られるマルタ。行ってみたい猫スポットランキングでしばしば上位に選ばれる、猫好き憧れの地なのです。

島国だけに、首都ヴァレッタをはじめ、港町には猫がたくさん。地元の人々に大切にされているからか、マルタの猫は人が近づいてもあまり逃げず、リラックスしています。

マルタの青い海と猫のコラボレーションは、猫好きはもちろん写真好きにとってもたまらないでしょう。

小さな島国にもかかわらず、容易には語り尽くせないほどの魅力を秘めたマルタ。景色よし、治安よしのこの国を、次の旅先の候補にしてみませんか。

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