マレー半島沖のマラッカ海峡に浮かぶマレーシア・ペナン島。その中心にあるジョージタウンは、かつてイギリスの植民地として栄え、いまも植民地時代の美しい街並みが残る世界遺産の街です。
ジョージタウンという街の名前は、イギリスの当時の国王、ジョージ4世にちなんだもの。
小さな街ながら、さまざまな民族や文化を受け入れてきた経緯があるために、大英帝国のコロニアル調、マレー、中国、インドなどの様々な国の様式の建築物が混在しています。
イスラム教、ヒンズー教、仏教、キリスト教それぞれの寺院や教会があるのも、他民族・多文化社会を象徴しているといえるでしょう。
そんなマルチカルチャーに魅せられ、ジョージタウンには世界中から多くの観光客が訪れます。
今回はそんなジョージタウンにある美しい建築を3つほど紹介しましょう。
1. ペナン・プラナカン・マンション
「ペナン・プラナカン・マンション」は、裕福な中華系移民の子孫が一世紀前に住んでいたペナンの歴史的邸宅です。
プラナカンとは、15世紀後半からマレー半島に移民した中華系男子が、現地女性と結婚して生まれた子孫のこと。この住宅は、中国文化にマレー、西洋の文化を融合させたプラナカン文化を代表する建築です。
現在は博物館となっており、彼らのライフスタイル、慣習、伝統について学ぶことができます。
華洋折衷の様式は、エキゾチックさと華麗さを併せ持つ、独特のスタイル。家具の多くは中国から持ち込まれ、床材や彫像、食器の一部はヨーロッパから運ばれたといいます。
風水に乗っ取り作られたペナン・プラナカン・マンションは、中央が吹き抜けになっています。
当時この邸宅に住んでいた人たちも、この吹き抜けで陽光を浴びたのでしょうか。
館内には1000点以上もの骨董品や収集品が展示されており、見ごたえたっぷり。
エキゾチックで華やかなプラナカン文化を間近に感じることができるペナン・プラナカン・マンションは、ジョージタウンに行ったらぜひとも立ち寄りたいスポットです。
2. クーコンシー寺院
「クーコンシー寺院(邸公司)」は、18世紀後半に中国福建省から渡ってきた邸(クー)氏一族が建立した先祖を祀る廟である公司(コンシー)で、ペナン島で一番豪華な中国寺院です。
火災に遭い、現在のものは1950年に再建されたものだそうですが、日本の神社などと同様、一本の釘も使われていません。
外壁の柱や壁などの細密な彫刻、彫像、絵画、色鮮やかな屋根はすばらしく、特に屋根の飾りは七宝焼きで、その重さはなんと5トンもあるのだとか。
クーコンシー寺院の正面には、龍が巻き付いているように見えるこの石柱が左右にあります。
実はこの石の柱は、ひとつの石から立体的に彫り出した一本彫り。
この大きさを彫り出すのに、いったいどれほどの時間がかかったのでしょうか。
入り口の左右を守るふたつの像は、一方がお父さん、もう一方がお母さんとのこと。
どちらがどちらか、持っているものを見ればわかるはずです(お母さんの足元には赤ちゃんがいます)。
内部には中国らしい、豪華絢爛な祭壇があります。また、階下には邸(クー)氏一族の系譜を示す展示もあるので、ぜひゆっくりと見てまわってくださいね。
3. チョイ・ファツ・ツィー・マンション
「チョイ・ファツ・ツィー・マンション」は、東洋のロックフェラーと呼ばれた中国の実業家チョイ・ファツ・ツィーが住んでいた邸宅で、現在はヘリテージホテルとして営業しています。
その美しいインディゴブルーの外観から、通称「ブルー・マンション」とも呼ばれています。カトリーヌ・ドヌーヴ出演の映画『インドシナ』に登場したことでも有名になったとか。
およそ130年の歴史を持つ建物。床材のタイルも130年前のものだそうです。
風水にのっとって設計された建物は、中央が吹き抜けになっています。
チョイ・ファツ・ツィー氏には8人の妻がいましたが、中でも、70歳のときに結婚した7番目の妻を特に大事にしていたそうです。
2階にはその7番目の妻の写真や着ていた衣装、また事業にまつわるさまざまな資料が展示されていました。
他民族・多文化が融合した街ジョージタウンを象徴する美しい邸宅、ブルー・マンション。
宿泊しなくても、ガイドツアーに参加すれば、館内を見学することができます。ジョージタウンを訪れたら、ぜひ足を運んでみてください。
いかがでしたでしょうか?
かつて海路が重要な戦略拠点であった時代、繁栄の歴史を極めていたマレーシア・ペナン島のジョージタウン。
もしこの場所を訪れるのであれば、時代の変遷によって生まれ、今なお多くの人々を魅了している建築物を楽しんでみるのもオススメです。
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