ヨーロッパ最大のチャイナタウンやコベント・ガーデン、劇場や映画館が集まるロンドン中心部の「ウェスト・エンド」。この賑やかな娯楽地区の一角に、古書や切手などを扱う店が並ぶ通り「セシル・コート(Cecil Court)」が存在します。

賑やかな大通りを外れ、セシル・コートに一歩足を踏み入れると、貴重な初版本やコレクターズ・アイテム、子供向け、音楽系、アジア系などの各種古書店、古地図、古いポスターや古書の美しいイラストページなどを一枚ずつ販売するプリント店、額装店、アンティークショップなどが立ち並び、歴史を感じさせられながらも、宝物が見つかりそうなワクワク感に包まれます。

現在のような古書店街になる前の同地は、イギリスの初期の映画産業の中心地でした。1897年に最初の映画制作会社がオープンすると、撮影機器店、道具のレンタル会社、外国の映画会社などが次々と店舗や事務所を構え、当時は「フリッカー・アリー(Flicker Alley、フリッカーとは映画などの画面のちらつきを意味し、アリーは路地)」の愛称で呼ばれていました。

その後第一次世界大戦前頃になると、古書店や出版社が集まるようになり、やがて現在のような古書店街へと変貌していきました。多くの店の店構えは100年前の姿とほぼ変わらないのだそうです。

さらに時間をさかのぼること今から255年前には、世界的に有名な音楽家がこの地を訪れます。その人とは、ヨーロッパ・ツアーでロンドンを訪れた当時若干8歳の天才音楽家、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトです。モーツァルトは家族と共にセシル・コートにあった理容師の所有する家に宿泊しました。そしてコンサート・チケットはその理容師の店で売られていたそうです。

モーツァルトが滞在した家は残っていませんが、跡地には記念の銅版が飾られており、現在はロック系の古本やアートを売る店が店舗を構え、ロックファンで賑わっています。

また、同地はハリー・ポッターがテーマのウォーキング・ツアーの訪問地となっています。

子供向けの古書店でハリー・ポッターの初期の本が売られていたり、ハリー・ポッターに登場しそうな雰囲気の店があったりします。

この通りから徒歩数分の場所にある「パレス・シアター(Palace Theatre)」では、シリーズ第8作目を原作にした「ハリー・ポッターと呪いの子(Harry Potter and the Cursed Child)」の舞台が長期公演されています。

筆者のオススメは古地図や、アンティーク・プリントを販売する「ストーリーズ(Storey’s)」。店頭に並ぶ建築物のプリントは5ポンド(約720円、2019年4月24日現在)とお買い得。額に入れたら素敵なインテリアになりそうです。

同じく店頭に並んでいた植物辞典のアンティーク・プリントは9.5ポンド(約1370円、同)。

ほかの店でも、世界中で不動の人気を誇る「不思議の国のアリス」や「クマのプーさん」など、イギリス生まれの童話の古書から抜き出したアンティーク・プリントなどが売られており、どれも手頃な値段なので、ついつい欲しくなってしまいます。

ロンドンを代表するランドマークであるトラファルガー広場やコベント・ガーデンのほか、ナショナル・ポートレイト・ギャラリーやナショナル・ギャラリー、チャイナ・タウンも近いため、これらへの観光のついでにでも是非訪れて見て下さい。

掘り出し物や他にない素敵なお土産が見つかるかもしれませんよ。

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名前 セシルコート
住所 Cecil Court, Charing Cross Road, London WC2N 4EZ
最寄り駅 地下鉄 Leicester Square