トルコを代表する観光スポットといえば、中部アナトリア地方に位置するカッパドキア。その類まれなる自然風景に加え、キリスト教徒たちが残した教会や地下都市などが評価され、自然遺産と文化遺産の両方の価値をもつ「世界複合遺産」に登録されています。
「カッパドキア」というのはエリアの名称。そのため、一口に「カッパドキア」といってもその範囲は広く、地域内に個性豊かな村々が点在しています。
カッパドキア観光の起点として最も人気があるのは、交通の便が良くホテルやレストランも多いギョレメですが、カッパドキアの多様性を知るには、周辺の村にも足を延ばしてみましょう。
カッパドキアを旅するなら、必ず訪れたい村のひとつがウチヒサル。巨大な岩山をくり抜いて造られたウチヒサル城を中心に広がる村で、その名はトルコ語で「尖った砦」を意味します。
ウチヒサル城を頂点に、段々畑のように立体的に築かれた町並みは壮観。SF映画のワンシーンに出てきそうな、非日常の風景に息を呑みます。
ギョレメからウチヒサルまでは、オトガル(バスターミナル)から30分ごとに出るローカルバスで10分ほど。ウチヒサルのバス停から看板に沿って10分弱歩くと、さっそくウチヒサル城に到着しました。
ウチヒサル城の歴史は、古代ローマ時代に、ギリシャ人のキリスト教徒がローマ帝国の迫害から逃れるため、ここに隠れ住んだことに始まります。洞窟を掘って造られた数多くの部屋がある城内は、まるで蟻の巣穴のよう。
階段と坂を上って城の頂上にたどり着くと、カッパドキアでも有数の大パノラマが広がります。
どこまでも続く奇岩群はもちろん、モスクや古い民家などが並ぶトルコの田舎らしい風景も魅力。観光地でありながら、今も人々の暮らしと伝統が息づいているのがカッパドキアなのです。
ウチヒサル城にのぼった後は、城の足元を散策してみましょう。城の周辺は散策路として整備されていて、立つ場所によってまったく異なる風景が楽しめます。
少し歩を進めるたびに、この世のものとは思えない風景が飛び込んでいて、数百メートル歩くだけでも目を見張る風景の連続。
歩き疲れたら、奇岩に造られたカフェで一休みするのもいいかもしれません。
ウチヒサルを歩いていると、岩の表面に無数の穴が空いていることに気付くはず。これらは地元では「鳩の家」と呼ばれる鳩の巣で、住民は集めた糞をワイン造りのためのブドウ畑の飼料として活用していたのです。火山性で土地がやせている、カッパドキアならではの生活の知恵といえますね。
城塞都市ウチヒサルは、広いカッパドキアのなかでも特異な景観が楽しめる場所。カッパドキアを訪れるなら、ローカルバスに乗ってここだけの風景を見に出かけませんか。
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