トルコ中部に位置するアンカラは、トルコ共和国の首都。ビザンツ帝国とオスマン帝国の都が置かれたイスタンブールと間違われやすいのですが、現在のトルコにおける政治の中心はアンカラです。
オスマン帝国時代の歴史的建造物がひしめき合うイスタンブールとは違って、1923年のトルコ共和国設立後に本格的な開発が行われたアンカラには、見るべきものが少ないというイメージがあります。
確かに、イスタンブールのように何日も滞在する場所ではありませんが、イスタンブールとカッパドキアの中間にあり、旅の通過点としては便利なアンカラ。バスターミナルから市内中心部までのアクセスも良く、短期滞在にはぴったりの場所なのです。
実は、近代的な印象の強いアンカラにも、古い街並みが残されている一画があります。首都だけに広いアンカラですが、滞在が一泊だけなら、旧市街ウルス周辺の街歩きがおすすめ。
アンカライ(ミニ地下鉄)のクルトゥルシュ駅から徒歩約10分で、石畳の道に伝統的な白壁の家々が並ぶエリアに到着します。
古いモスクが建つ広場や古民家風のレストランやカフェ、土産物店などが連なり、どこを切り取ってもフォトジェニック。
雰囲気もいたって平和で、歩いているだけでも心が躍ります。地元の人々に混じって、カフェで休憩するのもいいですね。
日本のガイドブックには載っていないので、このエリアに行くときは、グーグルマップで「Historic tourist bazaar」と検索してください。「アンカラにこんな場所があったなんて!」と隠れたお宝を見つけた気分になれますよ。
その北にあるハマモニュ地区にも、旧市街が復元されていて、世界遺産の村サフランボルのような懐かしい風景が楽しめます。
ハマモニュ地区の入口で、こんな銅像を発見。若いカップルではなく、ともに長い年月を乗り越えてきたであろう老夫婦が寄り添う姿に、なんともいえない温かさを感じました。
ハマモニュ地区を北に抜けると、アンカラ城への入口はすぐそこ。石畳の坂道の両側には、陶器や革製品などを売るお店が並び、さながら日本の門前町のようです。
イスタンブールに比べると、アンカラは外国人観光客がずっと少ないので、トルコ人に向けた品物が多く、値段も比較的手頃なのが嬉しいところ。
賑やかな参道を抜けると、重厚なアンカラ城の城門が目に入ります。
アンカラ城はアンカラで最も古い建造物のひとつで、ローマ時代に基礎が造られ、内側の城壁は7世紀にビザンツ帝国が築いたもの。外側は、ビザンツ帝国時代の9世紀に補強が行われました。
門から内城に向かう通りには、カフェやレストラン、土産物屋などが並び、それ自体が小さな町のよう。トルコのお約束で、ここにもやはり可愛らしい猫たちがたくさん。
ノスタルジックな通りを抜けて階段をのぼると、ビュースポットとして人気を集める内城への城壁へとたどり着きます。
入場無料ということもあり、普段から地元の人々の憩いの場となっている様子。城壁の上は歩けるようになっていて、地元っ子はぶらんと足を垂らして座っていますが、転落防止の柵がないので、日本人には怖いかもしれません。アンカラ城を訪れる際は、歩きやすく、すべりにくい靴が必須です!
城壁の上からは、オレンジ屋根の建物と高層ビルが共存する、古く新しいアンカラの街並みが一望できます。このルートをたどれば、アンカラ駅周辺とはまったく異なるアンカラの表情に魅せられることでしょう。
今回ご紹介したのは、半日でもアンカラの歴史に触れられるコース。もう少し時間があるなら、アナトリア出土のヒッタイトの遺物が並ぶアナトリア文明博物館や、トルコ建国の父ムスタファ・ケマル・アタテュルクが眠るアタテュルク廟、コジャテペ・モスクなどにも足を運んではいかがでしょうか。
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