スコットランドにある港町クラスゴーは、18世紀から20世紀に貿易や造船産業により栄えた町。ビクトリア様式やアールヌーボー様式の建築が今でも多く残っています。

ビクトリア朝時代(1837年から1901年)やエドワード朝時代(1901年から1910年)では大英帝国の第二の都市でもありました。その後、さまざまな変遷を経て、現在ではスコットランド人口の33%の人が住んでいる、イギリスの中で5番目に訪問者の多い人気のある町となっています。

今回はそんな歴史あるグラスゴーにおいて、市民の憩いの場となっている「グラスゴー・グリーン」をご紹介しましょう。

「グラスゴー・グリーン」の歴史は古く、1450年にスコットランド王・ジェームズ2世(1430年から1460年)が司祭とグラスゴーの人々に土地を与えたことから始まります。

当時は公園として使われていたのではなく、放牧地として、洗ったリネンを漂白する場所や漁猟網を干しておく場所として、など当時の人々の生活に欠かせない場所として使われていたそうです。

公園の中心部にあるのは「ネルソンズ・モニュメント」と呼ばれている記念碑。

アメリカ独立戦争、ナポレオン戦争、トラファルガー海戦などで勝利を納めたホレーショ・ネルソン提督を讃えたもので、イギリス初の市民記念碑です。

公園の中には「人々の宮殿(ピープルズ・パレス(The People’s Palace)」と呼ばれている博物館も存在しています。

この博物館は1750年以降のグラスゴーの街と人々の歴史を紹介する博物館となっていて、1階はウインター・ガーデンズ(Winter Gardens)と呼ばれる温室やカフェがあります。

そんな「グラスゴー・グリーン」ですが、この場所でひとりの科学者による偉大な発明が生まれます。

それがイギリスの産業革命を推進した蒸気機関でした。

当時、蒸気機関は水をポンプで汲み出すという限られた目的で炭坑で使われていただけでした。その蒸気機関の欠陥の原因をつきとめ、改良に取り組んだのが、当時グラスゴー大学で計測器製作の仕事に従事していたジェームス・ワット。

一筋縄では行かなかった蒸気機関の改良の中で、インスピレーションを得たのが、このグラスゴー・グリーンを散歩している時だったと言います。

そのインスピレーションによって、ワットはシリンダーと冷却装置を分離、蒸気力だけでピストンを上下させることに成功、その後、上下運動を回転運動に変換することに成功します。

ただ、ワットの作った蒸気機関は非常に巨大で、さらに機械そのものを動かすための操作も非常に複雑で効率も悪かったため、すぐに産業用の動力として使えるようなものではなかったそうです。

また、ワットの蒸気機関の改良は順調ではなく様々な資金難などを乗り越えて生まれた結果でした。 そして最終的には産業革命の重要な動力源をつくり出し、その名前は単位ワットとして今後も永遠に世界中で使われていくことでしょう。

もしスコットランドを訪れる機会があれば、現代の我々を豊かな生活へと導いた偉人も歩いたグラスゴー・グリーンを散歩してみてはいかがでしょうか。

もしかしたら、何か新しい発想が生まれるかもしれません。

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施設名 グラスゴー・グリーン (Glasgow Green)
所在地 Greendyke Street, Saltmarket, Glasgow Scotland