ドイツで最も有名な観光街道といえば、ヴュルツブルクからフュッセンまで約400kmの道のりを結ぶロマンチック街道。道中にはローテンブルクやディンケルスビュールなど中世の世界観をそのまま残した町が続き、まるでドイツの魅力をぎゅっと凝縮したかよのうです。
そんなロマンチック街道の終盤に登場するのが、世界遺産にもなっているヴィース教会。一見するとのどかな草原の中に立っている素朴な教会ですが、中に一歩足を踏み入れると「ドイツ・ロココの最高傑作」とも称えられる美しい装飾が訪れる者を感動の渦へと引き込みます。
ヴィース教会が立っているのは、フュッセンからのどかな田舎道を車で30分ほど走ったところにあるシュタインガーデンという地域。バスを利用する場合はフュッセンの駅前から73番、9606番、9651番に乗り、乗車時間は約45分です。
教会の前まできても、その質素な外観に「これが世界遺産?」と不思議に思うかもしれません。そんな考えも、中に入ってしまえば一気に吹き飛んでしまいますよ。
教会内に足を踏み入れると、そこに広がるのは外観からは想像もできないような壮大な世界。美しい天井画やスタッコ装飾、その他バランスよく配置された繊細な装飾が現像的な空間をつくりだし、その場にいるだけで魂が震えるほどの感動が全身を駆け抜けます。
この教会の建設を手掛けたのは、ドイツ・ロココの巨匠といわれたドミニクス・ツィマーマンという人物。教会の建設が開始された時点ですでに60歳だった彼は、完成後も近くに移り住んで80歳で亡くなるまでこの教会を見守り続けたといいます。
装飾や窓から差し込む光などが完璧に計算しつくされた美の結晶は、「ドイツ・ロココの最高傑作」と称えられるほど。この教会はまさにドミニクス・ツィマーマンが残りの人生を捧げた場所であり、彼の生涯における集大成でもあるのです。
そして天井一面に描かれたフレスコ画は、彼の兄であるヨハン・ツィマーマンによるもの。キリストや使徒たちを描いた堂々たる作品は「天から降ってきた宝石」とも称えられ、周囲の装飾との調和も素晴らしいです。
正面の主祭壇に置かれている「鞭打たれるキリスト」の像は、ヴィース教会の歴史と密接な関係があります。というのも、ある日とある農婦がこのキリスト像の目から涙が流れているのを見つけたのが、この教会の歴史のはじまり。やがてうわさを聞き付けた人々が家に押しかけた事からこの像のために礼拝堂が建設されますが、ここも手狭になったために建てられたのが現在のヴィース教会なのです。
教会の見学後は、周辺の草原を散策するのもおすすめ。時間があれば目の前にあるカフェ・レストランのテラス席に座り、教会を眺めながら食事を楽しむのも良いでしょう。
神秘的な歴史や壮大な世界観が見事に調和し、他では決して得ることのできない感動を呼び起こしてくれるヴィース教会。「ドイツ・ロココの最高傑作」と称えられる美しい世界を、ぜひ現地で体感してみてください。
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