ドイツとしては珍しく、近代的な高層ビルが建ち並ぶ金融都市フランクフルト。
そんな風景を見て、フランクフルトは歴史の浅い町だと思う人もいるかもしれませんが、実はフランクフルトは1200年以上の歴史をもつドイツ有数の古都。
第2次世界大戦で甚大な被害を受けた後、近代都市として歩むことを決めたため、古い町並みはあまり残されていませんが、1200年にわたって育まれてきた歴史と文化は今も生き続けています。
そんなフランクフルトの名物がリンゴ酒(アプフェルヴァイン)。フランクフルトがあるヘッセン州には、60のリンゴ酒醸造所があり、年間4000万リットルものリンゴ酒が生産されているといいます。
気になるお味はというと、ワインともビールとも違った、酸味のある独特の味わい。アルコール度数が5.5~7パーセントと比較的低く、軽く爽やかな感じがするのが特徴です。
フランクフルトでリンゴ酒を楽しむなら、迷わずザクセンハウゼン地区へ。旧市街からマイン川を越えて南に行くと、古き良き時代の面影が残る下町の風景が現れます。
ザクセンハウゼンでは、中世の時代からあちこちで自家製のリンゴ酒が造られていた歴史があり、庶民はもちろん王侯貴族までもがここへやってきて名物のリンゴ酒を楽しんだといいます。その名残は今も失われておらず、この地区にはリンゴ酒を売りにする古い居酒屋がひしめき合っています。
今回筆者が訪れたのが、地元客に人気のリンゴ酒居酒屋「Daheim im Lorsbacher Thal」。
地元メディアから「フランクフルトのベストレストラン」にも選ばれています。
店内は、昔ながらのドイツの居酒屋スタイルをモダンにアレンジしたすっきりとした空間。
ザクセンハウゼンのリンゴ酒居酒屋はテーブルのサイズが大きく、相席も当たり前。和気あいあいとした雰囲気で、隣合った人とすぐに仲良くなれます。
席についたらまずは名物のリンゴ酒を注文。リンゴ酒は「ベンベル」と呼ばれる藍色の模様が描かれた素焼きのピッチャーに入って登場し、「ゲリプテス」と呼ばれるダイヤ模様のグラスで飲むのが特徴です。
一見するとリンゴジュースのようでお酒には見えませんね。リンゴ酒はそのまま飲むとややクセがあるので、炭酸水を混ぜて飲むのもポピュラーです。
リンゴ酒とともにいただきたいのが、フランクフルト名物の「グリューネ・ゾーセ」と呼ばれるグリーンソースを使った料理。
グリューネ・ゾーセは、パセリやクレソン、アサツキなど7種類のハーブを使ったソースで、フランクフルトで生まれた文豪ゲーテも大好物だったそうです。
ゆで卵やじゃがいも、肉料理などと一緒に食べるのが一般的で、「Daheim im Lorsbacher Thal」のおすすめは豚肉のカツレツ「シュニッツェル」。
シュニッツェルはドイツを代表する人気料理のひとつですが、薬草のような匂いのするグリューネ・ゾーセと合わせて食べると、意外なほどにさっぱり、すっきりとした味わいに。シュニッツェルの重みを感じさせず、いくらでも食べられそうな気がするから不思議です。
ジューシーなカツレツと爽快感たっぷりのソースとの相性は抜群で、これまでになかった新たなシュニッツェルとの出会いが楽しめますよ。
ドイツの旅の起点として訪れる人も多いフランクフルト。フランクフルトにやってきたら、名物のリンゴ酒とグリューネ・ゾーセをぜひお試しあれ。
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名前 Daheim im Lorsbacher Thal
住所 Große Rittergasse 49, 60594 Frankfurt am Main
公式HPhttp://www.lorsbacher-thal.de/