ジブリ映画「紅の豚」そのままの世界が広がる美しき国、クロアチア。ドゥブロヴニクやプリトヴィツェ湖群国立公園をはじめ、世界遺産の絶景の数々に出会えると、近年日本でも人気が高まっている今注目の旅先です。

クロアチアを訪れたらぜひ食べてみたいスイーツが、「パラチンケ」。

「クロアチア風クレープ」ともいえるパラチンケは、お母さんが家で作ってくれるおやつの代表格で、クロアチアでは身近で庶民的なスイーツとして親しまれています。

国によって若干呼び方が変わるものの、パラチンケはクロアチアに限らず、ハンガリーやチェコ、オーストリア、ルーマニア、ブルガリア等、東ヨーロッパの国々を中心に食べられるお菓子。

薄く焼いたクレープ状のパンケーキ生地でジャムなどを包んだものが主流です。生地は、牛乳と卵、小麦粉を混ぜ合わせ、油を引いたフライパンで焼くだけというシンプルなもの。その語源は、ラテン語で「平たいケーキ」を意味する「プラケンタ」だといわれています。

今回パラチンケをいただいたのは、世界遺産の町・ドゥブロヴニクの旧市街にたたずむカフェ「ドルチェ・ヴィータ(Dolce Vita)」。

外国人観光客向けのおしゃれで少々気取ったカフェが多いドゥブロヴニク旧市街の中心にあって、素朴でアットホームな雰囲気を残すドルチェ・ヴィータは、地元っ子にも支持される人気店。物価の高いドゥブロヴニクにしては、値段もずいぶん手頃です。

アイスクリームが看板メニューのドルチェ・ヴィータですが、注文を受けてから一枚一枚焼くパラチンケも人気。筆者はバニラクリームとチェリーのパラチンケ(22クーナ)を注文してみました。

ふんわりと焼き上げた生地は細く丸められ、中にはバニラクリームがはさまり、上にはチェリーソースがかかっています。

レストランやカフェで食べるパラチンケはおしゃれにアレンジされているものもありますが、ドルチェ・ヴィータのパラチンケはいかにも素朴で懐かしい雰囲気。

生地は、フランス式のクレープよりはやや厚く、かといってパンケーキよりは薄い、クレープとパンケーキの中間のような厚み。フワッ、モチっとした独特の食感がたまりません。

中のバニラクリームはカスタードクリームに似た風味で、甘さは控えめ。甘酸っぱいチェリーソースとの相性が抜群で、思った以上に軽いので、ランチの後「もうお腹いっぱい」と思っていても案外平らげてしまうかもしれません。

クロアチアの家庭で作る際には、ヨーロッパで人気のチョコレート風味の甘いスプレッド「ヌテラ( Nutella)」やプラムジャムを挟むのが定番なのだとか。

クロアチアでは庭にプラムの木を植えている家庭も少なくなく、自家製のプラムジャムを包んだ特製のパラチンケも食べられているそうです。すべてが自家製のパラチンケは、まさに優しい「おふくろの味」というわけですね。

子ども時代にパラチンケを食べた経験などない日本人でも、見た目も味も素朴で優しいパラチンケを食べればなんだか懐かしい気持ちになってしまうから不思議です。

繊細で華やかなスイーツもいいけれど、クロアチアに行ったらぜひ一度はこの庶民的なおやつを味わってみてください。

Post: GoTrip! http://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア

名前 ドルチェ・ヴィータ(Dolce Vita)」
住所 Naljeshkoviceva 1a, Dubrovnik 20000
電話 +385 20 321 666