フィンランドのヘルシンキから日帰り旅行ができることから、近年人気急上昇中のエストニア。
とはいえ、日本ではまだまだ馴染みが薄く「どんな国なのか具体的なイメージがわかない」という人も多いことでしょう。今気になる北ヨーロッパの国、エストニアの基本知識をご紹介します。
・エストニア基礎知識
「バルト三国」と呼ばれるエストニア・ラトビア・リトアニアのうち、最も北に位置するのがエストニア共和国。バルト海を挟んでフィンランドと向かい合っています。
面積は、北海道の約60パーセントにあたる4万5227平方キロメートル、人口はおよそ132万人という小国です。
主要民族は人口の69.1パーセントを占めるエストニア人で、次いでロシア人が24.8パーセント、ほかにウクライナ人やベラルーシ人、フィンランド人などが共生しています。
公用語はエストニア語で、おもな宗教はキリスト教。エストニア人のほとんどがプロテスタントですが、ロシア系住民のなかにはロシア正教を信仰する人も少なくありません。
かつてはロシア帝国やソ連などの支配下に置かれましたが、1991年に独立を回復。2004年にはEU(ヨーロッパ連合)に加盟し、ヨーロッパの一員として再出発を果たしました。通貨はEUの共通通貨であるユーロが使用されています。
・IT先進国
実はエストニアは「eストニア」というあだ名が付くほどのIT先進国。「Skype(スカイプ)」発祥の地であり、外国からのIT企業の進出も盛んです。
ITを行政に活用する電子政府の仕組みを取り入れていることで知られ、エストニア国外の外国人でも「電子国民」となり、エストニアでの会社設立や金融取引ができる「電子居住権」の制度をスタートさせています。
エストニア政府は、2025年までに2000万人の「仮想国民」を獲得する目標を掲げているのだとか。これも、大国に干渉され続けてきた小国ゆえの生き残り戦略のひとつといえるでしょう。
・エストニアへの道
2018年1月現在、日本とエストニアを結ぶ直行便はないため、フィンランドのヘルシンキやロシアのモスクワなどを経由してエストニア入りするのが一般的です。
日本パスポート所持者は、観光目的の場合90日以内の滞在ならビザは不要。ただしシェンゲン協定のルールに基づき、ほかのシェンゲン協定加盟国での滞在と合わせて6か月間で90日以内の滞在でなければなりません。
・気になる治安は?
日本ではあまり馴染みのない国を旅するうえで、気になるのが治安。エストニアの治安はヨーロッパのなかでも良好で、貴重品の管理に気を付ける、夜遅くにむやみに外出しないといった当たり前のことに注意していれば、犯罪やトラブルに巻き込まれる可能性は低く、女性の一人旅にもおすすめできる国です。
2018年1月現在、イスラム過激派等によるテロのリスクも高くないので、テロの危険性が高い国を避けて旅行したいという人にとっても穴場といえるでしょう。
・世界遺産の首都タリン
フィンランドのヘルシンキから高速船でわずか1時間半、バルト海に面したエストニアの首都タリン。城壁に囲まれたタリンの旧市街は、北ヨーロッパで最もよく保存された旧市街のひとつとして名高く、「タリン歴史地区」としてまるごと世界遺産に登録されています。
旧市街は、古くからの権力の象徴で、現在もエストニアの議会が置かれている山の手のトームペアと、市民が治めてきた下町に分かれています。
旧市街を囲む城壁には今も中世の見張り塔が残り、町にはパステルカラーの家々や古い教会などが並びます。どこを切り取っても絵になるタリンの町並みは、まさにおとぎの世界。
・エストニアの精神的首都タルトゥ
「エストニアの精神的首都」と呼ばれるのが、タリンから南東に約180キロのところに位置する大学都市タルトゥ。エストニアの最高学府であるタルトゥ大学が置かれ、エストニアの精神と頭脳を支えてきたことがそのゆえんです。
世界中からの観光客でにぎわうタリンに対して、地元の人々が中心の落ち着いたたたずまいのタルトゥには、タリンとはひと味もふた味も違った魅力があります。
エストニア国立博物館やタルトゥ大学博物館、KGB監獄博物館などのミュージアムも多く、エストニアの文化と歴史に触れたい人にはぴったりの旅先です。
自然豊かなエストニアには、ラヘマー国立公園やサーレマー島など、自然に親しめるスポットもいっぱい。
ヘルシンキから日帰りで訪れる人も多いエストニアですが、できれば周遊してその素朴な魅力にじっくりと触れてみてください。
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