フランクフルトから南へ行った場所に位置する低山地オーデンヴァルト(Odenwald)。日本ではまだほとんど無名に近いこの地域ですが、「これぞドイツの旧市街」と言いたくなるような可愛い町が点在する場所でもあります。
今回ご紹介するヘッペンハイム(Heppenheim)もそんな旧市街ファンを唸らせる町のひとつ。葡萄畑の麓に構える旧市街では、まるで現代の物とは思えない歴史ある可愛らしい街並みが、訪れる者を伝説の世界へ誘います。ヘッペンハイムの顔とも言えるのが、その歴史は1551年にまで遡るという市庁舎。18世紀初頭には現在のようなバロック式の木組みの家に生まれ変わりました。比較的最近である2004年に改修されたばかりで、色あいがとても鮮やかです。
塔に付いている大きな時計は仕掛け時計になっているので、タイミングが合えば仕掛けが動く様子も見ることができます。
マルクト広場には他にもツーリストインフォがあるほか、カフェも何件かあります。筆者が訪れたのは2月の寒い時期でしたが、夏になると広場にテーブルが出され、多くの人で賑わうのだそう。こんな可愛らしい広場でカフェタイムだなんてとても贅沢ですね。
ヘッペンハイムの町を歩いていて目を引くのが、150ヶ所以上もの場所に設置されている絵付きの街灯。この地方に伝わる伝説が描かれており、街灯の下の部分には絵の解説があります。
ドイツの伝説にはまだ詳しくない筆者ですが、唯一分かったのは「ニーベルンゲンの歌」のシーンを描いたもの。泉で水を飲んでいるジークフリートを重臣ハーゲンが背後から暗殺する場面が描かれています。
「ニーベルンゲンの歌」繋がりですが、オーデンヴァルト地域にはジークフリートが暗殺されたとされる泉または井戸が各所にあるのです。
日が暮れて暗くなった町の中で街灯が照らされると、それはまさに幻想的な伝説の世界にいるかのよう。街灯を順にまわりながら描かれている伝説について語り部が語るツアーも、夜になると開催されます。
ファンタジーな旧市街を楽しんだら、町を見下ろす丘の上に立つ城シュタルケンブルクへも行ってみましょう。11世紀半ばに防衛目的で建設された城は、その後17世紀後半にはフランスの城砦を見本に増改築がなされました。
18世紀以後は住む者もなく廃墟となっていましたが、現在は一部が改修されてユースホステルになっています。高台にあるため、ここから眺める旧市街もまた美しいです。
ヘッペンハイムはフランクフルトやハイデルベルクからもアクセスがしやすく、日帰りも十分可能です。可愛い旧市街のなかに潜んでいる伝説の世界。そこに迷い込んでみるのも楽しいですよ。
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