NHKが女優・北川景子(31)主演の新作ドラマ『フェイクニュース』の制作を発表した。脚本は『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の野木亜紀子によるオリジナルで、前・後編仕立てで10月20日と27日に放送される。

”偏向報道”が叫ばれて久しいNHKが、ついに”フェイクニュース”と正面から向き合うのか、…と期待したがそうではないらしい。

同ドラマは「全てが真実になり、全てが真実でない時代だ」をキャッチコピーに、ネットメディアに勤める女性記者(北川)が”フェイクニュース”を追いかけて孤軍奮闘するという話だという。物語の中での”フェイクニュース”とは、中年男性がSNSに”青虫混入”の偽の投稿をしたことに端を発する、web上で展開される虚実入り混じった騒動を指すようだ。

つまりNHKは、フェイクニュースは「ネットの中」で、はびこっているものだと言いたいようだ。そこには自分たちだけが正しいニュースを報道している、フェイクなどまるで他人事という揺るぎない慢心が透けて見える。

そもそも、日本の多くのネット利用者が「フェイクニュース」と聞いてイメージするは、そんな”ガセや飛ばし記事による騒動”などではない。むしろ、朝日新聞の慰安婦報道やNHKの「貧困女子高生」を思い浮かべるのではないか。津田大介氏をはじめとするリベラル文化人は、とかくエビデンス不在の偽ニュースを問題視するが、日本にはもっとメディア根幹の嘘があるのだ。放送法4条に基づく”政治的中立”を逸脱し、偏った歴史認識や思想、国家観をもって偏向報道を行うこと。それこそが捏造とかフェイクと呼ばれている現代日本の嘘である。

海の向こうで、トランプ大統領が指摘して戦っているのも後者に近いだろう。そして、トランプの側近だったバノン元首席戦略官が会見の中で、NHKを名指しでフェイクニュースと批判していたことも忘れてはならない。

ちなみにこの番組の制作統括をする土屋勝裕氏は大河ドラマ『花燃ゆる』のプロデューサーで、「歴史の再現ではなく人間のドラマに立ち返る」といって手を入れて、『平清盛』に並ぶ大河ワースト視聴率(平均12.0%)を打ち立ててしまった前科がある人物。はたして、今回の『フェイクニュース』はネット時代の視聴者を掴むことができるのか。放送を楽しみに見守りたい。