コーカサスに位置する「火の国」、アゼルバイジャン。かつてはソ連に属していた国で、1991年のソ連解体に伴い共和国として独立しました。
それを機に、ヨーロッパの技術を採り入れて乗り出したカスピ海油田の開発が大当たり。オイルマネーで首都バクーのフレイムタワーやヘイダル・アリエフ・センターをはじめ、前衛的なモダン建築が建てられ、「コーカサスのドバイ」と称されるようになったほどです。
バクーの近郊には、地下資源豊かなアゼルバイジャンらしいユニークな観光スポットがあります。それが、マッドボルケーノ。
日本語では「泥火山」と呼ばれるマッドボルケーノとは、泥が地下水や天然ガスなどとともに地表に噴出している場所や、その結果できた地形のことをいいます。世界で1100ヵ所ほど確認されており、そのうち400ほどがアゼルバイジャンおよびカスピ海沿岸に集中しているのです。
アゼルバイジャンには多数のマッドボルケーノがありますが、なかでも旅行者に人気が高いのがゴブスタン泥火山群。地下から噴き出す天然ガスにより、マグマがたぎるかのごとく、泥が「ボコッ」と噴出する光景は摩訶不思議です。
2017年12月10日放送の旅行番組「世界の果てまでイッテQ!」では、イモトアヤコさんが泥火山へダイブするという荒業を披露してくれました。
ゴブスタン泥火山群は、世界遺産に登録されたゴブスタンの岩絵からも近く、首都バクーからの日帰りツアーなどで、気軽に両方の見どころを訪れることができます。
バクーからマッドボルケーノを目指して走ると、しだいに車は道なき道へと分け入っていきます。
道中も、あちこちで石油が湧き出している様子が見られ、日本では見られない光景の連続に大興奮。バクーから車で走ること約1時間半、ゴブスタン泥火山群に到着しました。
そこに広がっているのは、まるで地の果てのような景色。
乾いた大地は大きくひび割れ、地表には泥でできた火山のミニチュアが点在しています。
泥火山の噴き出し口に近づいてみると、確かに「ボコッ」「ボコッ」と音を立てて泥が飛び出してくるではありませんか。
大分の別府にも、これと似たような光景が見られる「坊主地獄」がありますが、そのスケールはけた違い。なんの囲いもない野外のオープンスペースに多数の泥火山が並んでいる様子は、日本では見られない異世界の風景です。
2001年には、泥火山が突然15メートルもの炎を噴き上げて話題になったことも。こうした自然環境が、この地で暮らす人々の火を信仰するメンタリティを育んだのでしょう。
噴出した泥の一部は、火山のマグマ同様に下に流れ、流れてから時間の経っていない泥は水分を含み、時間の経った泥は乾燥した空気のなか乾き、ひび割れていきます。
泥の乾いている部分と乾いていない部分の境目がはっきりとわかり、さまざまな距離や角度から写真を撮るのがなんとも楽しい!
アゼルバイジャンのマッドボルケーノは、自然の神秘が感じられるばかりか、予想以上にフォトジェニックな場所だということが判明しました。
ちなみに「火山」とは呼ばれるものの、噴出する泥は熱くないのでうっかり触ってしまっても特に問題はありません。
ゴブスタン泥火山群を訪れるには、公共交通機関でのアクセスは困難なため、バクー発の日帰りツアーを利用するのが一般的。ゴブスタン国立保護区に加え、拝火教寺院やヤナル・ダグなどを周るツアーを利用すれば、わずか一日でバクー近郊のおもな観光スポットが制覇できます。
アゼルバイジャンを訪れたら、バクー近郊にも足を延ばし、「火の国」の自然の神秘を肌で感じてみてください。
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