アイルランドの首都ダブリンで見逃せないスポットといえば、トリニティカレッジ。
1592年にイギリスのエリザベス1世によって創設された由緒ある大学で、アイルランド最古の国立大学にしてアイルランドの最高学府です。
オックスフォード大学やケンブリッジ大学と並ぶ、英語圏最古の7大学のひとつとして知られ、ジョナサン・スウィフトやオスカー・ワイルド、ブラム・ストーカーなど、数々の著名人を輩出してきました。
立派なファサードをもつ門をぐぐって、石畳のキャンパスを歩けば、ヨーロッパの名門大学の伝統と誇りを感じることができるはずです。
大学がなぜ観光スポットなのか、疑問に思われた人もいるかもしれません。
トリニティカレッジの図書館には、アイルランドの至宝「ケルズの書」が所蔵されており、その美しさをひと目見ようと、連日多くの観光客が詰めかけるのです。
「ケルズの書」とは、豪華な装飾が施された4つの福音書のこと。「世界一美しい本」の呼び声高い中世の装飾写本の傑作で、アイルランド最高の宝といえるでしょう。
マタイ伝、マルコ伝、ルカ伝、ヨハネ伝からなり、9世紀にケルズへと避難してきた僧によって制作されたと伝えられています。
全部で340を数えるページに使われているのは、「べラム紙」と呼ばれる牛の皮で作った書写材。150頭分もの牛の皮が使われているというから驚きです。
ケルト文化特有の渦巻き模様や人、動物などで彩られたケルズの書は、本というよりも芸術品。
縦約33センチメートル、横約24センチメートルのなかには、人や動物をかたどった装飾文字や組紐模様、色鮮やかな挿絵など、手の込んださまざまな装飾が施されていて、時を超えて生き延びてきたその存在感は圧倒的です。
残念ながらケルズの書の写真撮影は禁止されているので、見に行った際にはしっかりとその美しさを目に焼きつけておきましょう。
ケルズの書が展示されているのが、トリニティカレッジ図書館の一部である「オールドライブラリー」。アイルランドとイギリスで発行された本の納品が義務づけられており、古代エジプトのパピルスを含む約500万もの蔵書を誇ります。
ケルズの書がある1階を見学した後は、2階にある長さ65メートルの「ロングルーム」へ。クラシカルな雰囲気漂う空間は、オールドライブラリーの主要図書室で、特に古い蔵書20万点が収められています。
実はこの図書室は、2002年公開の「スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃」に登場するジェダイ図書館のモデルになったといわれる場所。
床から天井までぎっしりと書庫が設けられ、通路の左右にずらりと大理石の胸像が並ぶ空間が醸し出す厳かな空気は格別です。
廊下の端には、15世紀に制作されたアイルランド最古のハープも展示中。
アイルランドにとって、ハープは国章にもなっているほど特別な存在で、アイルランド発行のユーロ硬貨にはアイリッシュハープがデザインされています。
アイルランドを代表するビールブランド「ギネス」やアイルランドに本拠を置くLCC「ライアンエアー」のロゴにもハープがあしらわれているんですよ。
今まで気づかなかったという人も、アイルランドを訪れたらあちこちにあるハープのシンボルを探してみてください。
ケルト美術の最高傑作であるケルズの書と、ジェダイ図書館のモデルになったという部屋が見られるトリニティカレッジ。
ダブリンはおろかアイルランドでも屈指の人気を誇る観光スポットだけに、スムーズに入場したいならオンラインでの事前予約がおすすめです。
ダブリンを旅するなら、朝一番にトリニティカレッジを訪れて、アイルランドの伝統と文化に触れてみてはいかがでしょうか。
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