モーゼル川沿いにたたずむ小さな町ツェルは、「黒猫ワイン」のふるさと。ラベルに黒猫が描かれたキュートなワインがワイナリーで購入できるのはもちろん、よく見るとあちこちに黒猫が隠れている不思議な町でもあります。
なぜこの町が「黒猫ワイン」のふるさとと呼ばれているのか、皆さんも気になりませんか?今回は黒猫ワインにまつわるツェルの歴史に触れながら、町に隠れている黒猫を探していきましょう。
ワイン愛好家であれば、一度はその名を耳にしたことがあるであろう「黒猫ワイン」。この誕生には、以下のような歴史があります。
それは19世紀中ごろのこと。ツェルの町にアーヘンからワイン商人が買い付けにやってきます。彼らは最後の3種類まで選んだものの、そこからはどんなに試飲をしても最後のひとつを決めることができませんでした。
するとそこに黒猫がやってきて、あるワイン樽の上に飛び乗ると商人たちに威嚇をしはじめます。その様子を見た彼らは、「このワインは特別に違いない」と確信。黒猫が飛び乗った樽のワインを購入することに。
数日後また同じ商人がやってきて、持ち帰ったワインは大人気になったとワイン農家の主人に伝えます。そしてワインを選ぶ決め手となった黒猫にあやかり、そのワインの生産地は「ツェルの黒猫」と名付けられたのです。
現在ツェルで購入できるワインには可愛らしい黒猫が描かれており、その種類も様々。そのキュートさに心を奪われ、ワインに詳しくなくともコレクションしたくなってしまうでしょう。
黒猫はワインのラベル上のみならず、町のあちこちで見つけることができます。一番わかりやすいのは市庁舎前の噴水。かつて商人に対して威嚇していた時の様子が再現されています。
インフォメーションを兼ねた市庁舎にも、黒猫のマスコットが。
目抜き通りにあるワイン酒場の看板には、威嚇するポーズの黒猫。看板細工にうまく溶け込んでいて、ひと目見ただけではなかなか気が付かないかもしれません。
目立つところに黒猫がいたとおもったら、「こんなところ!?」とびっくりするような場所にも。何匹隠れているにせよ、黒猫がこの町にとって無くてはならない存在だというのは確かです。
町じゅうの黒猫が訪れる者を迎えてくれるツェル。ワイン好き、ネコ好きならずとも、一度訪れればこの町が持つ不思議な魅力に取りつかれてしまうはずです。
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