「台北の夜景スポットといえば?」と聞かれたら、「台北101」や「象山」と答える人が多いのではないでしょうか。

確かに、台北101と象山は、押しも押されもせぬ台北の人気夜景スポット。しかし、台北101のように混雑しておらず、象山よりも簡単に行ける、穴場的な夜景スポットがあります。

それが、MRT大安森林公園駅。「え、駅!?」と思ってしまうところですが、大安森林公園駅は「台北で最も美しい駅」と称される場所。モダンで独創的な駅舎は夜になるとライトアップされ、しっとりとしたムードを楽しむことができます。

大安森林公園は、観光客に人気の高い永康街の近くにある台北最大規模の公園。南北約800メートル、東西約400メートル。総面積およそ26ヘクタールにおよぶ広々とした公園は、まさに都会のオアシス的存在。

この界隈は宿泊先としても人気なので、泊まっているホテルがすぐ近くだったなんてこともあるかもしれません。

そんな大安森林公園に直結しているのが、2013年に完成した地下鉄信義線の大安森林公園駅。駅舎は「森林とのターミナル駅-都会と公園の対話」というテーマに基づいてデザインされており、モダンな造りながらも、公園と調和した美しい意匠が印象的です。

とりわけ、ライトアップされる夜になると、わざわざこの駅舎を見に来る人もいるほどで、デートスポットとしても人気。台北の地下鉄駅としては唯一、庭と噴水ショーのある駅です。

大安森林公園駅の駅舎はとてもユニークな構造で、左右にこんもりと盛り上がっているガラス張りの建物がエレベーターを伴う入口。そのあいだには、地表面よりも掘り下げて造った楕円形のガラス張りの駅舎があり、さらにその向かいには、ふんだんに水をたたえた噴水のある庭があります。

この一帯を散策していると、どこまでが公園で、どこからが駅なのか、わからなくなってしまうほど。この駅舎のデザインはまさにそれが狙いといってもよく、公園と一体化したリラックス空間として、台北の人々に親しまれています。

この駅の見ものが、毎日一時間ごとに開催される噴水ショー。天に向かって大きな口を開けたカエルのオブジェが立つ噴水では、時間になるとたっぷりの水が流れ出し、水と光のカーテンとシャワーがお目見えします。夜のライトアップとともに楽しめば、癒し効果も倍増。

ショーの開催時間は、平日は10~20時、休日は9~21時の毎時です(※毎月第一月曜日は、メンテナンスのため休止)。せっかく大安森林公園駅に足を運ぶなら、この時間に合わせて訪れるといいですね。

大安森林公園駅では、構内に点在する、ゆかいなカエルのオブジェにも注目。噴水の正面には、天を仰ぐようなポーズのカエルがいましたが、ほかにも水に浸かってリラックスしているかのようなカエルや、おとぼけ顔の親子のカエルの顔も。

これらのカエルたちは、自然の恵みを象徴していると同時に、忙しい台北の人々に「たまにはリラックスしようよ」と呼びかけているのだそうです。

通路の壁面には、近畿大学文芸学部教授の柴清文氏が手がけた「四季」という作品も。これらのアートはすべて改札の外にあるので、地下鉄を利用しなくても楽しめますよ。

自然との調和を大切にし、大都会台北のオアシスとなっている大安森林公園駅。色とりどりのネオンが輝く派手な夜景ではありませんが、心に灯がともるような、穏やかで優しい時間に出会える夜景スポットです。

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