どんな居酒屋にもそのお店に通う人々の思いが重なり、そしてそのたくさんの思いは居酒屋の持つ雰囲気となるのだ。
それゆえ、日本各地に多く人々を虜にする居酒屋がキラ星のごとく存在している。
例えば、あの吉田類も絶賛する大衆酒場、東京・江東区南砂町の「山城屋酒場」に、沖縄・石垣島で旬の魚介と沖縄料理を味あわせてくれる名店「居酒屋 錦(にしき)」、新潟の郷土料理からラーメンや洋食まで味わえる新潟市・古町の老舗居酒屋「喜ぐち(きぐち)」、北海道は小樽の絶品のおでんと日本酒を楽しめるお店「酒処 ふじりん」に、北海道随一の日本酒の品揃えと美味しいツマミのお店札幌市北区「味百仙(あじひゃくせん)」、食い倒れの町大阪では、魅惑の豚足を味わえる「かどや」に、鴨の焼き鳥が味わえる「とり平」、そしてあの開高健も愛したクジラのおでんが楽しめるたこ梅、さらには名古屋にいったら絶対に行っておきたい居酒屋「歓酒亭 大安(かんしゅてい だいやす)」などなど、数え上げればキリがない。
そんな全国にある美味しい居酒屋の中から、今回は、京都駅の目の前、京都タワーのふもとにある個性的なおでん屋をご紹介したい。
お店の名前は「へんこつ」だ。
・京都駅前、京都タワーのふもとにある個性的なおでん屋
こちらのお店、創業から半世紀を超える、京都を代表する名酒場の1つ。
多くの働く人々が訪れ、美味しいおでんとお酒を味わい、呑み過ぎることなく、お店を後にする。
美しい酒呑み達の阿吽の呼吸を感じられるお店がこちらのお店なのだ。
こちらのお店で正しい酒の呑み方を教えてもらった、という関西の飲兵衛の方々も多いのではないだろうか。
・濃厚な赤味噌をたっぷりと味わえるシグネチャーメニュー、それがサルベージ(底)
こちらのお店のメニューには飲み物や漬物をのぞけば、たっぷりの赤味噌と一緒に牛テールやスジ肉などを大鍋で煮込まれたおでんしかない。
濃厚な味わいのおでんの中でも、へんこつでしか味わえないのが、サルベージ(底)だ。
サルベージとは、その英語の意味の通り、大きな鍋の底に沈んでいる美味しいおでんダネをサルベージ(ひきあげた)したおでんのこと。
運が良ければ、おでんダネのタケノコなどが一緒に入ってくるという、まさにガチャのような楽しみも味わえるのがサルベージ(底)というメニューなのだ。
まずはそのままの味わいを楽しんでみてもらいたい。
濃厚でありながらコクと甘みを感じられる赤味噌の味わいは、えもいわれぬ妖艶さを感じられる味わい。
しかしながら、ただ単に濃厚な味噌味というだけではないのだ。
かすかな苦味や味噌のもつ独特の香りなどが複雑に絡み合い、それらが牛肉のスジやテールの濃厚な味わいをよりキレのあるウマミたっぷりの味わいに仕上げており、まさに「和風ビーフシチュー」という味わいを堪能できる。
そんな美味しい牛肉のおでんだからこそ、日本酒の熱燗との相性は抜群である。
そして、より美味しく味わうために、卓上の美味しいネギと一味を好みの分量加えることもいいかもしれない。
ネギのシャキシャキとした食感と香り、そしてピリッとした一味が加わると、より複雑でより味わい深い牛肉のおでんを堪能できる。
・オススメしたいジャガイモと厚揚げ
スジ肉やテールも非常に美味しいのだが、オススメしたいのはジャガイモと豆腐だ。
厚揚げは「和風ビーフシチュー」の味わいをたっぷりと受け止めており、濃厚なウマミが染み込んだ味わいをしっかりと堪能できる。
またジャガイモは、まさにビーフシチューに入っているそれと言っても過言ではない。
ホクホクとした食感とジャガイモのもつ甘み、そして牛テールと牛スジの濃厚な味わいが染み込んだジャガイモは、思い出すだけでも口の中に唾液が溢れてくるほど、ヤミツキになってしまう味わいなのだ。
多くの観光客が訪れる京都。
もし京都を訪れることがあるのであれば、美しい酒呑み達の阿吽の呼吸を感じられるこちらのお店を訪れてみてはいかがだろうか?
きっとそこには、半世紀以上積み重ねられた濃厚な味わいがあるに違いないのだ。
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お店 へんこつ
住所 京都府京都市下京区木津屋橋通烏丸西入ル東塩小路町579 あすなろビル1F
営業時間 17:00~23:00
定休日 日曜・祝日