南ドイツを縦断するロマンチック街道のネルトリンゲンでは、3年に一度だけ歴史的な「城壁祭り」が開催されます。城壁にぐるりと囲まれた旧市街には手工業者や道化師、中世の衣装に身をまとった人々が集まり、まるで過去にタイムスリップしたかのよう。各所で披露される歌やダンス、民族衣装を身にまとった人々らが参加するパレードなど、見どころも満載です。

旧市街を囲む城壁に守られているネルトリンゲンの町。城壁の外からは既にお祭り仕様におめかしをした大聖堂の塔が見え、気分を盛り上げてくれます。城門を守る門番に「通行税」を支払ったら、いよいよ中世の町へ足を踏み入れてみましょう。

城壁のなかには中世の職人が各所に店を構え、通りゆく人々が真剣に品定めをしています。店に並ぶ商品は牛の角の形をしたカップや鉄細工、はちみつワインといった中世市ならではの品々。

大聖堂から西へ歩いたところにある広場では、靴職人やブリキ職人たちが実際に作業している様子を観察することができます。慣れた手つきでいとも簡単に作品を仕上げてしまいますが、これは長年の経験があってこそ成せること。

石畳や壁をせっせと作る職人たち。現在まで残されているネルトリンゲンの建物や城壁も、この様にして造られたのでしょうね。

大聖堂前の広場には大きなステージがあり、伝統のダンスや歌が披露されます。このほか各所にある小さなステージで見られるのは、町の歴史を語る劇や歌、道化師による見世物など。日が落ちて夜になると迫力たっぷりの炎のショーが繰り広げられ、集まった慣習をファンタジーの世界へと導きます。

祭りの中でも特に大きな盛り上がりを見せるのが、昼過ぎに行われるパレード。民族衣装を身にまとった人々や農作業に使う巨大な機械、ブラスバンドの演奏隊などが列を作り、歴史ある町の中を練り歩きます。

ドイツの民族衣装といえばバイエルンのディアンドルが有名ですが、ほかにも地域ごとに特色のある民族衣装がいくつもあります。頭の飾りや肩にかけたスカーフなど、細かい部分にも注目してみましょう。

登場する巨大なトラクターなどは、どれも年季の入ったクラシックカーのよう。どのトラクターもピカピカに磨かれ、美しい花で装飾がされていました。

ネルトリンゲンの城壁祭りでは、一般の参加者のなかにも中世の衣装を身にまとった人々を沢山見かけます。その姿は中世の姫や農婦、騎士と多種多様。これらの衣装を着たグループの姿は特に見ごたえたっぷりです。会場内では中世衣装を販売する店も何件かあるので、興味のある方はぜひ覗いてみてください。

3年に一度、ネルトリンゲンの町が中世にタイムスリップする歴史城壁祭。ドイツでは似たような中世祭りが各地で開催されますが、ここまで規模が大きいものは稀といえるでしょう。次回の開催は2022年。城壁に守られた町の中で、つかの間の非日常を味わってみてはいかがでしょうか。

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