東京都でもっとも無美味しいロールキャベツが食べたかったら、中央区銀座の四馬路に行くとよい。読みかたはスマロで、夜はバーとして営業している路地裏の地下の小さな店だ。

ロールキャベツはランチタイムのみ定食として出されており、価格は900円。定食の内容はロールキャベツとみそ汁、あます、そしてライス。みそ汁には季節の野菜が入っており、使用しているダシの美味しさが密かに人気。


ロールキャベツは1皿に2つ盛られており、たっぷりのスープに浸されている。樽のようにドッシリとしたロールキャベツの上には、やや細かくざく切りにされたトマトと、少し生パセリが振りかけられている。

ロールキャベツが美味しい店は多々あれど、ここまで大絶賛されているロールキャベツが美味しい店は稀。「ロールキャベツが名物の店」と「ロールキャベツが大絶賛される店」は似て非なるものであり、この店は大絶賛される店なのだ。


ここのロールキャベツが美味しいのは当然である。精神論や女将の人格など、メンタル面を完全に排除して「物理的にロールキャベツが美味しい理由」を追求していくと、それは絶妙な旨味の濃さ、旨味のグラデ―ジョン、食感の均一性にあることがわかる。

ロールキャベツにスープの旨味を染み込ませるため、煮込みすぎたり、火力を強くしてキャベツの食感を損なっている店が少なくない。それゆえ、きゅぺつの一部が崩壊してトロトロになっている場合もある。それほどロールキャベツの仕上げは難しい。

しかし四馬路のロールキャベツは違った。型崩れしないように丁寧に煮込まれているのか、まったくキャベツの繊維が破壊されることなく、しっかり形状を保っている。

しかも、型崩ればかりに注力したロールキャベツにありがちな「硬すぎる」「筋ばっている」という失敗をせず、「非常に柔らかいのに型崩れせず食感が具と近い柔らかさ」に仕上げられているのだ。


つまり、柔らかいのに型崩れしてない、キャベツと具の食感が似ているので抵抗なくバクバク食べ進められるのである。さらに、ロールキャベツ内のエキスが究極的に最高で、スープ、肉汁、そしてキャベツの甘味がたっぷりと含まれていて、皿のスープとロールキャベツ内部のスープの旨味のグラデーションが楽しめるのが素晴らしい。まさに究極のバランスによって誕生したロールキャベツなのだ。

ちなみに、このロールキャベツをご飯に乗せて食べることを忘れないようにしよう。米粒とロールキャベツのエキスの相性はバツグンで、旨味が増幅するのである。また、適度に盛られているクリームとパセリが少なくも強い底力でロールキャベツの旨さをコクと爽やかさとして盛り上げているのは言うまでもない。

もっと詳しく読む: 孤独のグルメ シーズン8 / 銀座のバーで食べるロールキャベツ / 四馬路(スマロ)(東京メインディッシュ) http://main-dish.com/2019/10/09/kodoku-no-gurume-season8-ginza-roll-cabbage/

四馬路 / スマロ
住所: 東京都中央区銀座6-3-16 泰明ビル本館B1F
時間: 11:30〜14:00
休日: 土日
備考: ロールキャベツはランチのみ提供