世界で唯一、大陸がヨーロッパとアジアにまたがる都市、イスタンブール。この街を二分しているのが、黒海からマルマラ海、そしてエーゲ海の方へと流れるボスポラス海峡です。

旅行者は、ヨーロッパ側旧市街のエミノニュからクルーズ船に乗ってボスポラス海峡クルーズを楽しむことができるのも、イスタンブールのならではのアクティビティです。約20~30リラ、所要時間約2時間のショートクルーズでは、エミノニュから海峡の中程にあるファーティフ・スルタン・メフメト大橋辺りで折り返し、出発地点に戻ってきます。途中、ドルマバフチェ宮殿やチュラーン宮殿、オルタキョイ・メジディエ・モスクやルメリ要塞などの名所を船から眺めることができます。ロングクルーズではで、半日ほどかけて黒海に近いルメリ・カヴァウやアナドル・カヴァウの方まで足を延ばすことができます。

しかし、わざわざこのようなクルーズツアーに参加しなくても、庶民の足となっている連絡船を使えば、より手ごろな価格で、そしてより短時間で、ボスポラスのミニクルージングを楽しむことができるのがイスタンブールの隠れた楽しみ方の一つなのです。

おすすめは、ヨーロッパ側のエミノニュからアジア側のカドキョイを行き来している連絡船です。価格はわずが3リラほどで、所要時間も片道20分ほど。どんな見どころに出会うことができるのでしょうか?

エミノニュから乗船すると、まず見えてくるのがエミノニュにあるイェニ・モスクです。オスマン帝国史上、はじめて女性皇族によって建てられた帝室モスクです。周囲にはエジプシャン・バザールやリュステム・パシャ・モスク、丘の上のスレイマニエ・モスクなど、さっそくイスタンブール旧市街の見どころを捉えることができます。

船はどんどんアジア側に向かって進みます。次に見えてくるのは、トプカプ宮殿が建つ宮殿岬(サライ・ブルヌ)です。敷地内にいては見ることができない、宮殿の全貌をゆっくりと進む船から見ることができるなんて、これもまた贅沢な時間です。宮殿を取り囲む壁の一部は、コンスタンティノープルを囲っていた東ローマ帝国時代の城壁です。

注目すべきはヨーロッパ側だけではありません。アジア側に視線を移せば、そこには海の上にポツンと浮かぶ乙女の塔が。もとは灯台でしたが、現在はレストランや展望台として利用されています。アジア側のユスキュダルという街から、より間近に見ることができます。

心地よい海風にうっとりしたり、飛び交うカモメに視線を奪われているうちに、カドキョイがどんどん近づいてきます。埠頭に着くほんの数分前に見えるのが、トルコ国鉄のターミナル駅である、ハイダルパシャ駅の駅舎です。建設を手掛けたのはドイツ人の建築家で、1872年完成のネオ・ルネサンス様式がなんとも美しい駅舎です。

何時間もかけなくても、エミノニュとカドキョイを行き来するだけで船からイスタンブールならではの名所を見学することができます。時間や予算が気になるけど、ボスポラス海峡クルーズには挑戦してみたい!というかたは、連絡船に乗ってみてはいかがでしょうか。イスタンブールの住民になった気分で、大陸間の行き来を楽しんでみてください。

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