新しいマレーシア料理のお店が、東京都の流行発信地として知られる下北沢で2020年3月10日にオープンした。正直なところ「マレーシア料理のみせってけっこうたくさんあるよね」「美味しいけど珍しくはないよね」などと思う人もいるかと思うが、決してそんなことはないと断言しよう。ココだけの味、ココだけのマレーシアがココにある。
・日本の高品質食材で作ったお店
マレーシア、特にクアラルンプールでは定番の朝食として愛されているドライ・チリ・パンミー。それを日本の高品質食材で作ったお店「圧延ジャパン・ミー」(東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢1A)が下北沢にオープンした。
これがまた絶品なのだが、ドライ・チリ・パンミーの素人である記者が語るより、どんなものか店主の言葉を借りて説明すると以下のとおり。
ドライチリパンミーとは何なのか店主説明
「1985年にマレーシア・クアラルンプールのkinkinというお店から発祥したドライ・チリ・パンミーという汁なし混ぜ麺を日本産の素材でアレンジしたのが私たちの提供するジャパン・ミーです。ドライ・チリ・パンミーをとは漢字で書くと「辣椒板面」、英語だと「Dry Chili Pan Mee」。読んで字のごとく、チリ(スパイス)の効いた汁なし(ドライ)の平打ち麺(板麺)の混ぜ麺です」
・専用のローラーで生地を伸ばす
つまりマレーシアのドライ・チリ・パンミーを日本の高品質食材で作った料理がジャパン・ミー。汁なし麺に魚介や肉、野菜などの食材を盛り、タレで味付けしたものである。店名にある「圧延」(あつえん)とは、専用のローラーで生地を伸ばして麺を作る工程のひとつを意味し、前日から生地を鍛えては休め、調理に挑んでいるという。生地は人間の筋肉と同じで、鍛えて休ませることで育ち、しなやかさが生まれるようだ。
・手打ちとちぎりの二種類麺
麺は「手打ち麺」と「ちぎり麺」のふたつの麺から選んでオーダーできる。ちぎり麺はひとつひとつ麺を引き伸ばしてちぎり、太さや厚さが一定ではないランダムで無秩序な食感と美味しさを堪能できる。今回は「生玉手延ちぎり麺S」(600円)を注文。玉子は温玉か生玉から選ぶことができた。ちなみに手打ち麺とちぎり麺を混ぜたメガ盛りW麺も可能。
・東南アジアの雰囲気ムンムン
目の前にやってきたドライ・チリ・パンミーならぬジャパン・ミー。丼に盛られているのは、国産乾燥海老、イカンビリス風半生ジャコ、季節の青菜、タバスコテイストのそぼろ肉、きざみねぎ、そして生玉。そして麺の下にはタレが沈んでいる。丼のデザインが東南アジアの雰囲気ムンムンなのもたまらない。これをガッツリとかき混ぜて食べるのだが、盛りが美しすぎて混ぜるのがもったいない気持ちになる。
・箸にずっしりと抵抗感ある重さ
かき混ぜると、強い海老の薫りが漂いはじめる! これは食欲が増幅される! よくかきまぜ、麺に艶やかなツヤが出たころ箸でサルベージ。あまりにも弾力があるため、箸にずっしりと抵抗感ある重さが生まれる。これは期待せずにはいられない。強引に麺を引き上げズズッとすすると……。
・いつまでも食べ続けられる
うわぁ。これはヤバイのではないか? 限りなく優しい味。そしてソフト。そういう表現を「インパクトがない」「あたりさわりない普通の味」とは思わないで欲しい。限りなく優しいヤミツキ味とはこのことか! 気が付くと1分後には丼から麺が消えていた。そう、いつまでも食べ続けられる、止められない、止まらない、ヤバイ味なのである。これ毎日食べたいのだが!
麺は滑らか、柔らか、ふっくら、とろとろ。食べ進めているうち、その魅力を盛り上げているのは生玉だと気が付いた。この生玉、ジャパン・ミーに合う田中農場の宝玉卵を使用しているとのこと。小麦粉「ゆめちから」100%で作った自家製麺にこの生玉あり。最高に優しい組合せかもしれない。
・「良いものを食べている感」と「旨いものを食べている感」
単に味付けが濃く、そしてインパクト先行型の麺料理が世の中に多いなか、これはしっかり「良いものを食べている感」と「旨いものを食べている感」の双方を堪能させてくれる絶妙な料理だ。
ドライ・チリ・パンミーが日本で進化したジャパン・ミー、これを食べずして日本のマレーシア料理は語れないかもしれない。
もっと詳しく読む: 下北沢で食べるマレーシア朝食ドライチリパンミーが絶品 / 日本の高品質食材で再現「圧延ジャパン・ミー」(東京メインディッシュ) https://main-dish.com/2020/03/10/shimokitazawa-atsuen-japan-mee/
圧延ジャパン・ミー
住所: 東京都世田谷区北沢2-12-2 サウスウェーブ下北沢1A
時間: 11:00~15:00 17:00~22:00 金土11:00~15:00 17:00~23:00 日11:00~15:00 17:00~21:00
休日: 水曜日
<執筆>
クドウ: TVチャンピオン「焼肉王選手権」「デカ盛り王選手権」に出場し、どちらも準優勝に輝く。日清公認のどん兵衛士の称号を得ており、どん兵衛とラーメン二郎要素を融合させた「どん二郎」のネーミングやレシピを考案。空条海苔助の名義で「世にも微妙なグルメレストラン」「彦龍のノリヒコさん」などを出版するB級グルメ研究家で「月曜から夜ふかし」などにも出演。イタリアをめぐりピザを食べる旅をするほどピザマニアでもある。また、昭和的な「個人経営の焼肉屋」をめぐる旅をする焼肉マニアで、知られざる秘境でドローンカメラマンもしている秘境グルメマニアでもある。