Balancerは2020年3月に発表されたETH基盤の取引ツールであり、AMM(自動市場メーカー)としても機能する自動ポートフォリオ管理プロトコルである。ユーザーは、流動性提供者として「バランサープール」を作成したり、プール内の任意の2つのトークン間で取引したりすることができる。

Balancerはトークンセールを行っていないが、シードラウンドで300万ドルの資金調達に成功している。6月1日から、基盤トークンのBALは流動性マイニングを通じて流動性プロバイダーへの配布が開始された。BALの時価総額は、9月23日時点で全暗号資産のうち88位と高い。8月6日にBinanceが、9日にHuobiがBALを上場したことで取引量が急増、価格も上昇した。

Balancer Exchangeでは、59種類の暗号資産のスワップを行うことができる(9月22日時点)。取り扱われているのは、ETH、BALなどの他、DAI、USDC、wBTC、wETHなどのステーブルコインや、BAT、MKR、SNXなどのETH基盤のプロジェクトに利用されているトークンである。この取引手数料は全て流動性プロバイダーに支払われる。

BalancerはCurve.FinanceやUniswapと並んで流動性が高いプールを所有している。ユーザーは、Exchange Dappで暗号資産の即時交換をして、Pool Management Dappで流動性を提供することができる。最大で8つの資産を任意の割合でプールして、リバランスの割合を決定できるという点では、Uniswapよりもプールの設定の自由度が高い。またプールの作成者は、0.0001%から10%の間で自由に取引手数料を設定することができる。ポートフォリオをリバランスするトレーダーから手数料が収集され、その全てはプールの作成者である流動性プロバイダーに支払われる。BALを所有していなくてもファーミングに参加することでBALを得ることができるが、BAL を含むプールは利率が高めになるよう優遇されたり、ステーブルコイン同士のペアは優遇されないなどの設定がある。

Balancerには、プライベートプール、共有プール、スマートプールの3種類のプールがある。単独の流動性提供者のみがプールの作成・運用をするのがプライベートプール、誰でも流動性を追加できて、バランサープール・トークンによってプールの所有権を追跡することができるのが共有プール、スマートコントラクトで残高、バランス、手数料を再調整できるのがスマートプールである。

BALの最終発行枚数は1億枚であり、そのうち6,500万枚は約8.6年間かけて毎週14万5,000枚ずつネットワーク参加者に配布される。それ以外については、2,500万枚が3年間で開発チームとアドバイザー、投資家に、500万枚がエコシステムファンドに、500万枚が将来の資金調達向けに割り当てられている。BALトークンは流動性マイニングの際に利用されるが、BALを保有するメリットはガバナンスへの参加権に限られる。