Set Protocolは、Setsトークンというバスケットトークンの発行・管理・取引を行うことができるプロトコルで、投資信託やETFのようなトークンを組成、売買できるサービスである。2017年にローンチされ、2019年からは簡易版アプリケーションのTokenSetsが提供されている。Setsトークンのポートフォリオ資産である合計ロック資産価値(TVL: Total Locked Value)は約0.4億ドルであり、2020年以降は順調にTVLが増加している。
Setsトークンの裏付けであるトークンバスケットはSetのスマートコントラクトに保管される。そして、特定のスマートコントラクト戦略に基づいて、Setsトークンのポートフォリオは自動的にリバランスされる。現時点でプロトコル利用手数料は課されていない。
Setsトークンは、(1)ハードコード戦略と(2)ソーシャルトレーディング、(3)その他、の3つに大別される。(1)ハードコード戦略Setsは、デフォルトで売買できるSetsトークンであり、予め定められた一定の戦略・ルールに基づいて、リバランスや売買がスマートコントラクトによって自動で行われる。(2)ソーシャルトレーディングSetsは、Setsトークンとして販売されており、第三者であるソーシャルトレーダーが考案した戦略をコピーする形でユーザーの資産を運用することができる。(3)その他のSetsにはDeFi Pulse IndexのSetsがある。ハードコード戦略とソーシャルトレーディングのカテゴリーのトップのSetsトークンの時価総額は200~400万ドル程度であるのに対して、DeFi Pulse IndexのSetsの時価総額は3,000万ドル程度と大きい。
Set Protocolのようにインデックストークンを提供しているプロジェクトとして、PieDAOが挙げられる。また、Set Protocolはイールドファーミングを自動化するロボトレードSetsも提供していることから、Yearn FinanceやHarvest Financeなどのイールドファーミング・アグリゲーターとも競合関係にある。
現時点では、Setsトークンの流動性が乏しいことから、Uniswapなどで取引すると注文した価格と実際に成立した価格との差が大きくなる。また、SetsトークンはMakerやdYdXのオラクル価格を基にリバランスを実行しているが、仮に価格操作やオラクルへの攻撃などが成功した場合には、Setsのリバランス・アルゴリズムが狂い、Sets価格が操作される可能性がある。
現状、Set Protocolはガバナンストークンのような基盤トークンを発行していない。将来的には、ユーザーに対してSetsの購入や売買、ソーシャルトレーダーに対してはSetsの作成などに手数料を課す可能性もある。また流動性マイニングやプロトコルの分散化のために、ガバナンストークンを発行し、同時に発行収益を作り出す可能性も考えられるだろう。