万延元年(1860年)の創業以来、長良川畔に佇み、江戸・明治・大正・昭和・平成・令和と6つの時代を歩んできた老舗旅館「十八楼(じゅうはちろう)」。その名前は、俳聖・松尾芭蕉翁が岐阜滞在中、この界隈の風情に感銘を受けて記したとされる「十八楼の記」に由来します。

山頂に斎藤道三公・織田信長公ゆかりの岐阜城がそびえ立つ金華山の麓、長良橋南詰の鵜飼観覧船のりばから西へ続く格子戸のある古い街並みの中にあり、岐阜観光の拠点に便利な立地です。

この記事では、人数や予算に応じて選べるお部屋、茶褐色のにごり湯が特徴の長良川温泉、長良川の風土が育んだ恵み生かした四季折々の会席料理などを愉しめる十八楼の魅力を紹介します。

ロビーラウンジ

エントランスから入り、レセプション、そして十八楼オリジナル商品や岐阜の名産品を揃えた売店の横を通って奥に進むと、ロビーラウンジがあります。

長良川を望む広々としたロビーラウンジの壁面には芭蕉が残した「十八楼記」が刻まれており、気品と落ち着きを感じさせます。チェックイン後、17時30分まではワインをフリーフローで楽しめるのも嬉しいポイント。そのほか、ソフトドリンクやコーヒー、紅茶も用意されています(無料)。

お部屋(川側10畳客室)

長良川温泉 十八楼には、プライベート展望露天風呂付き特別室からベッドで過ごせる和モダンのお部屋まで、さまざまな種類の客室があり、人数や予算、年齢に合わせて選べます。今回は長良川を一望できる川側標準和室(10畳+広縁)に宿泊しました。館内でもっとも多い客室タイプです。

10畳間に広縁がついており、布団で5名まで泊まれます。室内バスルーム、温水洗浄便座付トイレ、液晶テレビ、冷蔵庫などが備わったスタンダードな和室です。

障子を開けると、四季折々の長良川の表情を堪能できます。

お部屋にはお茶と岐阜銘菓が用意されていました。お菓子は求肥に抹茶が練り込まれた玉井屋本舗の鮎菓子「登り鮎」。長良川を眺めつつ、鮎菓子をいただくのは風流ですね。

長良川温泉を堪能できる大浴場

川の瀬(画像提供:十八楼)

十八楼には二つの大浴場「川の瀬」と「川の音(ね)」があり、男女入れ替え制で、朝と晩で異なるお風呂を愉しむことができます。長良川温泉は鉄錆を溶かしたような赤褐色の温泉で、豊富な鉄分のおかげで湯冷めしづらく、全国的にも数少ない希少な泉質が人気です。

川の瀬(画像提供:十八楼)

川の瀬には、鵜飼モチーフをデザインした露店風呂、薬草10種類(カミツレ、ジュウヤク、ガイヨウ、コウカ、チンビ、ダイウイキョウ、サンシシ、カンゾウ、マツブサ、モクツウ)をブレンドした薬草風呂、きめ細かいミクロの気泡を浴槽に発生させ、毛穴の中まで美しくするシルキーバス、寝湯を備えた内風呂のほか、明治時代の重厚な蔵を用いた「蔵の湯」が併設されています。

(川の瀬の利用時間は、男性が14:00〜24:00、女性が5:30〜10:00)

川の音(画像提供:十八楼)

川の音には、天井に高山ひのき、湯船に木曽石を使用したセミプライベートな露天風呂があります。雄大な長良川の流れと季節ごとに移り変わる景色を眺められる開放感たっぷりのお風呂です。

川の音(画像提供:十八楼)

川の音の内風呂にも、薬草風呂、シルバーバス、寝湯が備わっています。多彩な湯船を満喫できる十八楼ならではの湯めぐりで、心も体も癒されることでしょう。

(川の音の利用時間は、男性が5:30〜10:00、女性が14:00〜24:00)

※客室露天風呂、室内バスルームは、長良川温泉ではありません。

夕食(十八楼特選会席)

十八楼では、一汁三菜(吸い物・刺身・焼き物・煮物)をベースに、七品以上の御献立を基本とした会席料理をいただけます。岐阜の風土が育んだ山の幸・川の幸の美味しさを最大限に引き出す、長良川の清らかな伏流水を使用しているのが特徴です。

今回は、料理長おすすめの『十八楼特選会席』をいただきました。季節を盛り込んだ演出で、飛騨牛鍋や旬の新鮮なお魚、職人技の前菜などを味わえます。食前酒のノンアルコールサングリアで乾杯したら、極上のひとときの始まりです。

前菜は、胡麻豆腐、焼き鯖寿司、揚げ麩田楽、揚げ牛蒡甘辛煮、チーズ最中、ほうれん草菊花和え。一つひとつ手が込んでおり、目でも舌でも愉しめます。

飲み物は、三千盛(みちさかり)、光琳、氷室といった日本酒や、梅酒、焼酎、ビール、ワインなど種類豊富なラインアップ。今回は十八楼オリジナルラベルの古酒をいただきました。

なめらかな舌触りの南京真薯蕪すり流し仕立て、とろけるように柔らかな食感と甘みを堪能できる飛騨牛の牛鍋。本日のお造り盛り合わせは、サーモン、カンパチ、鯛、鮪、鮑の5種類を、十八楼オリジナルのたまり醤油と、メレンゲを加えた泡醤油でいただきます。

しっとりとした飛騨牛ローストビーフ、脂がのったカラス鰈西京焼き、ホロホロになるまで柔らかく煮た飛騨牛旨豚八丁味噌煮。一品一品しみじみと味わいたくなるおいしさです。

季節の炊き込み御飯と赤だし、香の物(飛騨・美濃伝統野菜 飛騨紅かぶの赤かぶ漬け、わさび昆布、高菜)をいただき、大満足で食事を終えました。

グラスデザートは無花果のコンポートをのせた栗のプリン。最後まで季節感を楽しめました。

朝食バイキング

十八楼の朝食は、「健康美食」をテーマに、地元の食材・ご当地料理を取り入れた、和洋バイキング(ビュッフェ)です。2階の扇の間にて、6時30分~9時30分までいただけます。
(※最終入場は営業終了の30分前、宿泊状況により営業時間が変動します)

岐阜県産ハツシモの白ご飯と五穀米、長良川名物 鮎茶漬けといったご飯と赤だしに、朴葉味噌、豆乳豆腐、卵焼き、焼き鮭、サラダ、ソーセージ、ベーコンなど、さまざまなおかずから、好きなものを好きなだけいただけます。

プリン、黒ごまプリン、アイスクリーム、ゼリー、杏仁豆腐、ヨーグルト、わらび餅、紅はるかの柔らか お芋といったデザートや、コーヒー紅茶などのドリンクも種類豊富にそろっていました。

(夕食・朝食の内容は2025年11月のものです。時期や仕入れ状況により内容は変わります)

周辺散策

十八楼は、長良橋南詰の鵜飼観覧船のりばから西へ続く古い街並み(通称「川原町」)にあります。このあたりは昔、長良川の水運を利用した川港として栄え、多くの商店で賑わっていた場所です。現在でも、伝統工芸品「岐阜うちわ」を作っているお店や、岐阜銘菓「鮎菓子」で知られる和菓子店などが、レトロな雰囲気を残したまま営業しているので、ぜひ周辺を散策してみてください。

毎年5月11日から10月15日までの期間に開催される「長良川鵜飼」を観覧する際には、館内から船着場まで専用通路「鵜飼小路」を渡って乗船できます。これは十八楼宿泊者のみの特権です。

鵜飼が見られない期間でも、長良川沿いを散歩するのはとても気持ちがよいですよ。

十八楼閣では、宿泊者向けの2つの周辺散策ツアー(川原町散策ミニツアー・戦国ミニツアー)を毎日開催しているので、岐阜の魅力をより深く知りたい方は参加してみては。(料金無料、予約不要、当日ロビーに集合) ご自身で周辺をまわりたい場合は、レンタサイクルも利用できます。

名称 長良川温泉 十八楼
所在地 岐阜県岐阜市湊町10番地
アクセス 名古屋より車で約1時間、岐阜駅からバスで約20分/タクシーで約15分
駐車場 建物の斜め前に約150台分の屋外駐車場あり(予約不要、料金は無料)
公式サイト https://www.18rou.com/

Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア

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