宮城県仙台市に拠点を置く学校法人菅原学園と、「世界で一番、社会に近いスクールを創る」をモットーとする株式会社バンタン(本社:東京都中央区)がこのほど提携し、専門学校デジタルアーツ仙台でバンタン提携学科を2027年4月に開講すると発表した。

■「上京の壁」を取っ払い、地元でも夢を叶えられるように

近年の物価高は我々の日々の生活にさまざまな形で影響を及ぼしているが、進学を考える地方の高校生にとっても大きな課題になっているという。経済的負担となるいわゆる「上京の壁」だ。全国大学生教連「第60回学生生活実態調査」によると、実家を離れて上京して生活をする場合、食と住だけでも3年間で300万円以上の費用がかかると算出され、これは相当な負担である。

コロナ禍を経て働き方にもバリエーションが見え始めた昨今ではあるが、これから社会へ、あるいは希望する道を歩みたいと考える若者にとって東京での学びや生活は大きな一歩になることは間違いない事実。ヒトやモノだけでなく、あらゆる文化も東京に集まっているといえるからだ。クリエイターを目指すならばなおさら。

しかし、実際は希望する道を金銭的事情から諦めるケースも少なくないという。そこで「地元でプロを目指せる」環境を整えるべく、学校法人菅原学園とバンタンが手を結んだ。新たな選択肢が増えたことは大きな希望といえる。

■講師は現役クリエイター。活きた授業が展開される

2027年4月からスタートする提携学科は、3学科6専攻。トラックメイク&プロデュース専攻などの「音楽総合学科」、動画クリエイター専攻などの「デジタルクリエイター科」、声優タレント専攻の「声優科」だ。いずれも現役で活躍するクリエイターからより実践的な授業を受けることができる。バンタンの経営母体であるKADOKAWAグループやユニバーサルミュージックといった業界トップの提携といった強みが活かされる形だ。

JR仙台駅から徒歩7分にある専門学校デジタルアーツ仙台の新校舎は2025年4月に運用が始まったばかり。遠くからでも目を引く10階建てのビルだ。

このほどの記者発表では現役の専門学生も参加し、音楽プロデューサーのNao’ymt(ナオワイエムティー) 氏による特別授業が行われた。Nao’ymt氏は安室奈美恵や三浦大知といった数々の人気アーティストに楽曲を提供している。どのようにして音楽を作っているのか? DAWソフト(Digital Audio Workstation:パソコン上で作曲、録音、編集、ミックスなど音楽制作全般を行えるソフトウェア)の画面を投影し段階を追って見せていく、そんな手の内を明かすような内容に学生たちの眼差しは熱い。特別授業の冒頭、Nao’ymt氏がまず語ったのは自分が音楽を作り続けるのはなぜかという話だった。

「志は、物作りをするうえで欠かせないものです。自分は幼少期から引っかかりを感じるような、なんだかもやもやしたものを抱えていました。ある時そのもやもやを習っていたピアノに思うままにぶつけてみたんです。すると、不思議とパッと晴れる感覚がありました。それが中学生のとき。そんな経験してどんどん音楽作りにのめり込むようになって、それが今でも続いています。心動かすものは生活のなかにもたくさんあって、幼い頃はその衝動を解消する術を知らず息苦しさになっていたんだと思います。ある時それを音楽として吐き出した。作り続けることによってアイデンティティーを獲得しているんだと思います。些細なことに感動して心を動かして音楽にしたいそんなふうに思っています」

クリエイターにとって高いスキルを持つことは欠かせないが、こうした心の持ちようが作り続ける原動力になる。第一線で活躍するプロの、物を生み出す原点は学生の心に届いたはず。こうした授業が展開されるであろう素晴らしいモデルケースを見た気がした。