まるで童話の世界のような風景が広がるデンマークの首都、コペンハーゲン。
コペンハーゲンにあるミュージアムのなかでも、世界的に有名なのが「ニュー・カールスベア美術館」です。
ビール好きな人はその名を聞いてピンときたかもしれません。そう、この美術館は北欧を代表するビールメーカー「カールスベア(カールスバーグ)」の創始者J. C. ヤコブセンの息子である、カール・ヤコブセンの私的なコレクションを中心とした美術館。
エジプトやメソポタミア、ローマ、ギリシアといった古代美術のコレクションで有名です。
・宮殿のような建物
その展示内容もさることながら、まるで宮殿のような建物自体も一見の価値あり。
赤レンガ造りの堂々たる建物は、1897年に建築家のウィルヘルム・ダーララップによって最初の翼部が造られました。その後、1906年にハック・カンプマンによって、1996年にはヘンイング・ラルセンによって拡張が行われて現在に至ります。
重厚感たっぷりの外観とは対照的に、白亜の館内は自然光がふんだんに入るように設計されており、安らぎのひとときを過ごすことができます。
・亜熱帯のウィンターガーデン
ニュー・カールスベア美術館の空間を特徴的なものにしているのが、「ウィンターガーデン」と呼ばれる亜熱帯の植物が茂るパティオ。一見植物園のようにも見えるスペースに、ゆったりと彫刻が配置されています。
まるで楽園を思わせるこの空間には、「コペンハーゲンの寒く暗い冬を少しでも明るい気持ちで過ごせるように」との願いが込められているのでしょうか。
中庭に面して席が設けられたカフェも大人気。これほど優雅かつ開放的な空間でお茶ができるなんてなんとも素敵ですね。
・充実した彫刻の展示
ニュー・カールスベア美術館のデンマーク語名は、「ニイ・カールスベルグ・グリプトテク」。「彫刻陳列館」の意味をもつ「グリプトテク」という名前が表しているとおり、もともとこの美術館は古代からの彫刻作品のコレクションを中心とした美術館でした。
それだけに、古代エジプトやメソポタミア、ローマ、ギリシの彫刻や石棺などのコレクションが充実していて、古代美術に興味がある人にはたまらないラインナップとなっています。
中世ヨーロッパの彫刻も多数展示しており、展示内容に合わせた装飾が施された展示室と作品たちとの見事なコラボレーションが楽しめます。
・フランス近代絵画
ニュー・カールスベア美術館の見どころは、彫刻だけではありません。19世紀から20世紀のデンマークの彫刻や絵画に加え、創設者の息子らによって収集されたフランス近代絵画もこの美術館の目玉のひとつになっています。
モネやセザンヌ、ルノワールといった日本人にも人気の高い印象派画家の作品や、ポスト印象派のゴッホやゴーギャンの作品など、百数十点におよぶフランス絵画が展示されており、絵画ファンも満足できる内容となっています。
コペンハーゲン最高峰のミュージアム、ニュー・カールスベア美術館。お得な観光パス「コペンハーゲンカード」の対象施設となっているほか、火曜日はなんと入場無料。
美術品にさほど興味がなかったとしても、カフェでお茶がてら美しい建築を鑑賞するだけでも十分楽しめるはずです。
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