韓国に旅行に行った人の多くがショックを受けるのが、韓国のトイレ事情だ。韓国のトイレの大部分ではトイレットペーパーを流すことができない。便器の横に置かれたゴミ箱に捨てる。当然、雑菌が繁殖して臭う。

ピョンチャンオリンピックの際、
「不潔な習慣は止めて、紙は流すようにしよう。ゴミ箱は撤去しよう」
 という流れになった。ただし、そもそもなぜ流さなかったといえば、流せなかったからだ。理由は、下水管が細くて紙を流せない、トイレットペーパーの質が悪い、と2つの説がある。

「かまうものか!! 流してしまえ!!」
と流した結果何が起こったのかは小学生でも分かるだろう。詰まったのである。

そしてこれまでゴミ箱に捨てていた習慣のある人が、ゴミ箱がないので床に捨ててしまい、不潔な状況になってしまった。

韓国のトイレ事情が良くなるには、もう少し時間がかかりそうである。

ただし、それでも過去に比べたら韓国のトイレ事情は格段に良くなっているという。

水原市のシム・ジェドク元市長は在職中に公衆トイレを改善する運動に取り組んだ人だった。あだ名は、ミスタートイレット。

トイレ型の自宅を建て、トイレの展示館を作ったのだった。それがトイレ博物館、『解憂斎(ヘウジェ)』である。

展示館の周りには、様々な像が建てられている。大便をひり出している途中の少年の銅像はものすごくリアルだ。大便は黄金色で、神々しい。

リアルな銅像シリーズは5〜6体あったが、そこで資金が尽きてしまったのか、その他の像はやたらと造形が拙い。

赤ちゃんのウンコを犬に食わせている像や、ロープでケツを拭く少年の像などが並んでいる。トイレの文化を知る展示館と書かれていたが、足跡のついたウンコのオブジェや、考える人が大便をしている像や、巨大なマキグソ像は完全にウケ狙いだ。

さすがに展示館の内部は、外ほどはふざけてはいなかった。韓国のトイレの歴史や、最新のトイレシステムなどが紹介されている。ただし、内容はそれほど濃くはなかった。

最も立派に展示されているのが、シム・ジェドク元市長の自慢の品々コーナーだった。タクシー運転手時代の運転免許証に、パスポート、市長時代の議員バッジ、ネームプレート、勲章などなどが所狭しと並んでいる。

まあ自宅をどう改装しても自由だけど、そんなに自信満々に自慢しなくってもさ、と思ってしまう。やっぱり成功した人は、その暁に自画自賛したくなるものらしい。ただし、見せたい欲求とは裏腹に、見たい人はほとんどいないのが残念な限りである。

それよりかは館内に飾られた子供の絵のほうがはるかに見応えがある。子供がウンコと戯れている絵や、便所でご飯を食べている絵が飾られていた。トイレ博物館は、衛生観念を育むための施設かと思ったが、そうでもないようである。