韓国と北朝鮮の首脳による「南北首脳会談」を経て28日、各国メディアでは様々な反応を見せている。当事者である韓国では、「完全な非核化に一歩踏み出す」(中央日報)などの見出しで大々的に報じるなど、朝鮮半島の緊張緩和に期待を示した。また、共同通信は今年のノーベル平和賞受賞者を巡る英ブックメーカーの予想で、韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の両首脳が、同日の時点で賭け率が1番人気となった状況を報じている。

しかし、そんな平和裏に行われたと思しき南北首脳会談だが、台湾・聯合新聞網は25日、「南北首脳会談でまた反日メニューが出現した」と報じている。

韓国政府は板門店で開かれた南北首脳会談後の夕食会メニューを公開したが、その中で、朝鮮半島を描いた「統一旗」を模したチョコレートに、日韓両国が領有権を争う竹島が描かれていることがわかった。これを受け、日本政府は外交ルートを通じて正式に抗議したという。

朝鮮半島の非核化への進展に期待がかかる中でも、韓国の反日姿勢は一向に衰える兆しがない。その代表的な動きが、韓国内外で進められる「従軍慰安婦像」の設置運動だ。それも慰安婦問題とはまったく関係ないように思える欧米先進国での働きかけが顕著になっている。

そうした問題を伝えたのは3月11日配信の『ソウル聯合ニュース』で、京畿道光明市の発表によれば、旧日本軍により慰安婦にされたと訴える女性・李容洙(イ・ヨンス)さん(89)が「フランスで平和の少女像を設置しようとする意見が提示された」と話したのだという。李さんはこの日まで、フランスの国際女性デーへの出席しており、仏下院で慰安婦についての証言したり、講演会も行っている。その流れの中で「慰安婦像設置」についての話が持ち上がり、今後は仏在住の韓国人らと設置にむけて具体的な日程を決めると話している。

昨年、11月に正式受け入れが決まったサンフランシスコに続き、12月にはマニラで市に「無許可」で慰安婦像の設置が行われたばかり。マニラの慰安婦像に関しては27日深夜にフィリピン政府関係者らによって撤去されたが、マニラ市は「排水工事のための一時的な撤去で、いずれもとに戻されると理解している」と説明するなど先行きは不透明だ。

そして、次に出たのが「パリ」である。フランスは30年連続観光客数世界トップの超・観光立国。中でも、最も人気のあるパリでの設置となれば、その影響力は韓国内や諸外国地方都市での設置とは桁違い。世界中に「韓国の主張する歴史観」をそのまま広めてしまうことになるだろう。

■トランプと抱擁したお婆さんが仏・緑の党の韓国系政治家と連携か

フランスのパリに慰安婦像が建てられるーー。こんな仰天計画の中心人物と目される李容洙さんは、昨年11月に訪韓中のトランプ氏と抱擁した、あの女性だ。日本の有識者には、連行時の年齢や連行した相手の特徴など「発言内容がコロコロ変わる」ことで有名な彼女だが、国際的な活動の広さには看過できないものがある。

李容洙さんは07年には米国ハーバード大学で「日本の総理が私の前にひざまずいて公式謝罪し、賠償しなければ、日本の子孫たちが平和に住めるようになる道はない!」と涙を流しながら講演。15年4月には、訪米した安倍晋三首相(63)を追って米国入りし、上下両院合同会議での演説の前に議会前で抗議活動を行っている。また、16年3月には日韓合意を無効化するべく、ワシントンで開催された核安全保障サミットに合わせて、キャンペーン運動を展開している。

そして、今回フランスで連携した相手は、緑の党に所属し、韓国にルーツを持つ政治家・ジャン・ヴァンサン・プラセなる人物だ。この男性はいち地方議員ではなく、韓国系として2人目となる仏政府の閣僚であり、国家改革・簡素化担当大臣も務めた人物という点にも注意したい。

南北朝鮮の両首脳が、ノーベル平和賞の最有力候補になる。そんなブラックジョークが現実となった現在、我が国としてはかの国のプロパガンダを「無視すれば良い」「韓国とは付き合わなければ良い」という消極的な姿勢では事態は打開できない。度重なる反日活動に根負けして「まあいいか」で見過ごしている内に、国際社会で取り返しのつかない誤解を生むこともありうる話なのだ。日本政府には断固たる対応を期待したい。