世界遺産のヴァルトブルク城で有名な、ドイツ中部の町アイゼナハ。

この町の人々がもうひとつ誇りにしていることがあります。それは、ここが「近代音楽の父」と呼ばれるヨハン・セバスチャン・バッハの生誕地であるということ。

1685年3月21日、バッハは宮廷楽士の末っ子としてアイゼナハに生まれ、10歳までの幼少期をこの町で過ごしました。

町の中心にある市庁舎やバッハが洗礼を受けた聖ゲオルグ教会を過ぎ、ルター通りを進んでいくと、クリームイエローの古い建物とモダンな建物が隣り合う光景が目に入ります。これが今日バッハの記念館として公開されている「バッハ・ハウス」です。

正面左手にはかつてバッハ一族の館であった築600年以上の家が建ち、その右側には2007年に増築された新館が寄り添うようにして建っています。

館内の600平米の展示スペースには、直筆の楽譜や17~18世紀の楽器など250点以上ものオリジナルの品々がずらり。「バッハ・ハウス」の面白さは、新旧をあわせもつその2面性にあります。

クリームイエローの家の内部は、木の梁や木造の階段が印象的な、いかにも歴史を感じさせる空間。

そこに、バッハが生きた時代の家具や調度品を配して、当時の暮らしぶりを再現した部屋や、バッハが学生だったころの資料、珍しい古楽器などが展示されています。

ここに展示されている家具は実際にバッハが使用したものではありませんが、いずれもバッハの時代のもので、ワイマールの宮廷古美術商がこのミュージアムのために調達したものなのだとか。

だからこそ、バッハが作曲している風景が目に浮かんでくるような臨場感があるのでしょう。

さらにユニークなのが、1階にあるコンサートルームでは、バッハ時代の17~18世紀の古典楽器のパフォーマンスが定期的に行われていること。

チェンバーオルガンの実演にあたっては、聴衆の中から選ばれた一人がふいごを足で踏んで演奏をサポートします。現代の楽器とは形も音色も違う古典楽器が奏でるメロディは、バッハが生きた時代の空気を今によみがえらせてくれるかのよう。

タイムスリップしたかのような気分になる旧館とはうってかわって、2007年に増築された新館では、白を基調としたモダンな空間でマルチメディアを駆使した展示が待っています。

オーディオによる説明を聞きながらバッハの人生や彼の音楽について学んだり、「バブル・チェア」に揺られながら音楽を聴いたり、視聴覚ルームでは、迫力ある映像とともにバッハの代表作「カンタータ」「フーガ」「トッカータ」の演奏(合唱)を楽しんだり・・・


バッハの音楽とともに、バッハの肖像や楽譜、書籍といった関連資料にじっくりと触れることができます。

1階ではバッハ関連の書籍やCD、オリジナルの雑貨も販売中。バッハの顔や楽譜がプリントされたマグカップやチョコレートなどはドイツ土産にもぴったりです。

町を離れた後もバッハが生涯愛し続けたという、バッハの故郷アイゼナハの「バッハ・ハウス」。

バッハファンやクラシック音楽ファンはもちろんのこと、そうでなくともバッハの残した偉大な功績に感じ入らずにはいられないはずです。

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Bachhaus Eisenach
http://bachhaus.de/en/home