世界遺産に登録されている旧市街で有名な、エストニアの首都タリン。しかし、タリンの見どころは城壁に囲まれた旧市街の中だけではありません。

旧市街から少し離れて足を延ばしたいのが、広大なカドリオルグ公園の一画にある「カドリオルグ宮殿(カドリオルグ美術館)」。旧市街からは、トラムで簡単にアクセスできます。

カドリオルグ公園は、エストニアがロシア帝国の支配下にあった時代、ロシアのピョートル大帝がエカテリーナ妃のために造らせた庭園で、カドリオルグ宮殿はその中に夏の離宮として建てられました。

「カドリオルグ(カドリの谷)」という名は、エカテリーナに対応するエストニア女性の名前に由来しています。

イタリアの建築家ニコロ・ミケッティの設計によってバロック様式で建てられたカドリオルグ宮殿は、1718年に着工され、完成までに5年の歳月を要しました。

現在この宮殿は、エストニアで唯一の海外美術を集めた美術館として使用されています。

所蔵するのは、16~20世紀の西ヨーロッパやロシアの絵画、家具、彫刻など。ブリューゲルやレーピンといった巨匠の作品があるだけでなく、建物自体も美しいカドリオルグ宮殿はタリンの必見スポットです。

緑豊かな公園にひっそりとたたずむ赤を基調としたカラフルな宮殿はなんともフォトジェニック。美しく整えられた庭園も見事です。

コンサートやレセプション会場としても使われているといい、2007年に天皇陛下がエストニアを訪問された際には、この宮殿内で昼食を召し上がられました。

宮殿の玄関をくぐると、白亜のホールでミロのヴィーナス像が出迎えてくれます。

ミロのヴィーナスといえば、パリのルーブル美術館に展示されている世紀の傑作ですが、こちらは1858年にドイツの彫刻家の手によってローマで制作されたコピー。本家のヴィーナスよりも少しだけ大きなサイズで作られています。

カドリオルグ宮殿内で最も豪華な部屋が、「北方バロックの真珠」とも称されるメインホール。

見事な天井画と、壁や天井に施された精巧なしっくい装飾は圧巻で、エストニアのみならず、ピョートル大帝時代の北ヨーロッパバロック建築のなかで最も素晴らしいもののひとつであるといわれています。

ニコロ・ミケッティによる設計で、1720~1729年にかけて、各国の職人たちの協業によってこの美しい部屋が完成しました。天井画やしっくい装飾は、君主の偉大さや王家の重要性を表しています。

宮殿内のほかの部屋も色とりどりに装飾され、ロシアの宮廷画家が描いた君主の肖像や、西ヨーロッパの画家が描いた風景画や宗教画などが展示されています。

美術品に特別な関心がなかったとしても、豪華な内装や調度品と合わせてその華麗なる世界を楽しめるカドリオルグ宮殿。

美術好きなら、ここと同じ公園の敷地内にある「クム美術館」をはしごして、アートな一日を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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