イギリス全土、どこの街にも必ずと言っていいほどあるチャリティー・ショップは、動物愛護、ガン、心臓病、小児医療、ホスピス、ホームレスなど、それぞれの支援対象や研究対象を明確にした慈善団体が、支援や研究費に当てる資金調達を目的とし、中古品を販売するショップです。
不用品を安値で買い取り販売する通常のリサイクル・ショップと異なるのは、チャリティー・ショップの商品は一部の団体オリジナル・グッズなどを除き、商品がほぼ市民からの寄付品であること。衣類、装飾品、おもちゃ、食器、本、CDやDVD、レコード、家具など、ありとあらゆる生活用品が安値で販売されています。
つまり、仕入れ費用はゼロ。店舗スタッフもマネージャーなどの正規職員のほかは、無給のボランティアで運営されており、ボランティアには時間に余裕のあるお年寄りや主婦のほか、職業体験をする学生や求職者などもいます。
また、学習障害のある若者を支援するチャリティー・ショップでは、支援対象の若者が店員として働いている姿も見られ、資金調達だけでない様々な形の支援がなされています。
慈善団体の資金集めを目的とした現代的なチャリティー・ショップがイギリスにオープンしたのは1948年のこと。オックスファム1号店がそれで、現在イギリス国内に1万500件を超えるチャリティー・ショップが存在します。
日本にも2011年に世界の貧困問題を支援をする国際協力団体「オックスファム(OXFAM)」のチャリティー・ショップが初上陸しています。
多くのイギリスの家庭では、大掃除や衣替え時に『チャリティー行きバッグ』を用意し、小さくなった子供服、行き場のないお土産、模様替えで不要になったカーテンなども捨てることなく、チャリティー・ショップに寄付されています。
自分が賛同する団体のショップへ寄付する人もいれば、単に自宅近くの持ち込みやすいショップに寄付する人など様々。時より街角に寄付品の回収ボックスもあります。
地域によっては住宅のポストに慈善団体の寄付品回収用のビニール袋が投函されることがあります。袋には団体名や入れてもらいたい寄付品、回収の期日などが記載されており、袋に寄付品を入れ期日に家の外に出しておけば回収されるという仕組みが出来上がっています。
不用品を寄付することと、チャリティー・ショップで買い物をすることは、慈善活動の盛んなイギリスにおいて、誰もが最も気軽にできる慈善活動なのです。
・とんでもないお宝発見?
イギリスでは『チャリティー・ショップで数ポンドで買った指輪が数万ポンドの価値の本物のダイヤだった』『チャリティー・ショップで買ったお土産品だと思っていた器が18世紀の中国の骨董品だった』などというニュースが時より飛び込んできます。
めったにない話ですが、足繁く通って目を光らせていると、こうしたお宝に出会えるのかもしれませんね。
・イギリスらしい王室グッズ
国王の在位記念やロイヤル・ウェディング、王子や王女の誕生を記念し、公式品から非公式品までさまざまな記念品が発売されます。
そんな記念品をつい買ってしまったけれど、日常使いとして使う気にもなれず、いつしか持て余してしまったのかもしれない王室グッズをチャリティー・ショップに持ち込む人も多いようです。
・家具も寄付可能
寄付する家具を無料で引き取りにきてくれるチャリティー・ショップも存在します。
アティークを愛する国イギリスのチャリティー・ショップでは、味のあるアンティーク家具が、アンティーク・ショップよりも手頃な値段で買えるのが魅力。家具専門のチャリティー・ショップは見ているだけで楽しくなってきます。
・人気のミッドセンチュリー
「1世紀の中間」を意味するミッドセンチュリーは、インテリア業界では1940~1960年代前後にデザインされた家具やインテリアのことを指します。
イギリスでもミッドセンチュリーのインテリアは根強い人気。チャリティー・ショップで運がよければ出会えるのがミッドセンチュリーの食器。中でも1949年にイーストヨークシャーに設立された「ホーンジー社(Hornsea Pottery)」の日常使いの食器が人気で、60~70年代に一世を風靡した頃の商品がチャリティー・ショップに寄付されるとすぐに売れてしまいます。
・本専門店
子供の絵本から大人向けの小説や写真集まで豊富な品揃えが嬉しいオックスファムの本専門店。ほとんどのチャリティー・ショップでは本も扱っていますが、本専門店ならお土産にもなりそうな洒落た本が見つかりそう。
・おもちゃも新品じゃなくていいよね
使用期間が限られている子供用品ほどチャリティー・ショップを利用しない手はありません。
もしかしたらすぐに飽きてしまうかもしれないゲームやパズルも、チャリティー・ショップなら安く気軽に買えますね。
・思い出の品
ウェディング・ドレス、旅先で浮かれて買ってしまったのかもしれないお土産、大事に集めてきたのかもしれないお人形のコレクション。
これらを見ながら『どんな人が着ていたのかな』『中国の北京で買ったのかな』『買ったはいいけど家のインテリアに合わなかったのかな』『どこかのおばあちゃんが老人ホームに入ることになって遺族がおばあちゃんのコレクションを寄付したのかな…』などと想像しながら商品を見るのもチャリティー・ショップの楽しみ。イギリス人の生活が垣間見えてくるような気がします。
・チャリティー・ショップの見つけ方
スマートフォンがネットにつながっているならば、グーグルマップを開き、現在地で「charity shop」と検索してみてください。ロンドン中心部などにもチャリティー・ショップが見つかるはずです。
地方を訪れる機会があるのなら、地方都市のチャリティー・ショップも是非覗いて見てください。ロンドンよりもさらにお買い得な値段で掘り出し物が見つかるかもしれませんよ。
Post: GoTrip! http://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア