ノルウェー第2の都市ベルゲンは、フィヨルド観光の玄関口としても知られるノルウェーきっての観光都市。

町が拓かれたのは1070年のことで、12世紀から13世紀にかけてはノルウェーの首都が置かれた古都でもあります。

中心部は徒歩で周れるコンパクトな町ながら、世界遺産に登録されているブリッゲンや、高台からの絶景、ムンク作品を多数所蔵するミュージアムなど、見どころは多彩。

フィヨルド観光の起点にするだけではもったいない、ベルゲンの5つの魅力をお伝えします。

・世界遺産ブリッゲン

ベルゲン観光で絶対にはずせないのが、世界遺産に登録されているブリッゲン地区です。

ベルゲンは、14世紀にバルト海沿岸を中心とした都市同盟であるハンザ同盟に加盟。17世紀にハンザ同盟が終焉を迎えるまでの約400年間にわたって、ハンザ都市として大いに繁栄しました。

その繁栄の中心地となったのが、ベルゲンの旧市街に位置するブリッゲン。この地区にはハンザ商人の住居や事務所、倉庫などが置かれ、名産の干ダラの取引の拠点となったのです。

白に黄色、オレンジ、赤など、港に沿って並ぶ色とりどりの木造の建物は、ハンザ商人たちが建てた商館。港に近い部分は倉庫として、奥は事務所や住居として使われていました。

これらの木造倉庫群は、現在は雑貨ショップやギャラリー、カフェ、レストランなどとして使われていて、ベルゲン観光の中心地となっています。

一見すると、港に面して建物が一列に並んでいるだけのように見えますが、建物と建物のあいだの細い路地に入り込むと、その奥にさらなる空間が広がっています。

これこそがブリッゲンの醍醐味。上部が張り出した独特の構造をした木造家屋に挟まれた通路には、なんともいえないひなびた雰囲気が漂い、一瞬にしてタイムスリップしたかのような気分に。

こうした路地にも、手作りのアクセサリーやオリジナルデザインの洋服などを売るショップやアートギャラリーなどが点在していて、宝探し気分で散策が楽しめます。

・フロイエン山からの絶景

ブリッゲン散策とともに楽しみたいのが、ケーブルカーで上れるフロイエン山からの絶景。

ブリッゲンからほど近いところにあるケーブルカー乗り場から標高320メートルの山頂まで、全長844メートルをおよそ6分で結んでいます。ただし、夏の観光シーズンにはケーブルカー乗り場に長蛇の列ができることも多いので、時間には余裕を持って。

山頂からはベルゲン市街が一望でき、ベルゲン港やブリッゲン地区はもちろんのこと、方角を変えればベルゲン駅にほど近いバイパルケン公園など、ベルゲンの名所をすべて写真に収めることができます。

夏季には「フロイエン・フォルケレストラン」や土産物屋もオープン。ハイキングコースもあるので、山頂でのんびりと過ごしたり、時間に余裕があればハイキングを楽しんでみるのもいいでしょう。

・緑豊かな癒しの町並み

フィヨルド観光の玄関口となる町だけに、ベルゲンは緑に囲まれた自然豊かな環境が自慢。町はベルゲン港となだらかな山々に囲まれ、山にへばりつくようにして家が建つ独特の風景が楽しめます。

町の中心部ですら広大な池を囲むバイパルケン公園をはじめ、ゆったりとした公園や庭園が設けられており、ベルゲンではどこを歩いても緑が目に入るといっても過言ではないほど。

この町ののんびりとした空気と、すぐそばに自然があるという環境に、誰もがすっかり癒されてしまいます。

・ムンク作品もある充実のミュージアム

実はベルゲンは豊富なコレクションを抱えるミュージアム都市でもあります。

ベルゲン駅からほど近く、バイパルケン公園に面して建つのが、北欧最大級の美術館「コーデー(KODE)」。2013年にベルゲン美術館と西ノルウェー美術館が統合し、「コーデー」という名で生まれ変わりました。美術館は4つの建物に分かれていて、それぞれKODE1~4と呼ばれています。

KODE1では、16世紀から現代にいたるまでのヨーロッパデザインの歴史を紹介。KODE2は近代美術館で、企画展もしばしば開催されています。

最大の見どころともいえるのが、18~19世紀のノルウェー美術が並ぶKODE3で、なかでも北欧を代表する画家であるムンクの作品群は有名。KODE4では、ピカソやミロなどヨーロッパの巨匠画家の作品も展示されています。

コーデーのほかにも、ベルゲンにはブリッゲン地区にあるハンザ博物館やブリッゲン博物館など、ベルゲンの歴史を紐解く博物館も充実。1000年の歴史をもつ古都にふさわしく、芸術のみならず歴史にもふれられるのが魅力です。

ミュージアムを何ヵ所も周るなら、ベルゲンの市内交通と主要な観光スポットが無料または割引になる「ベルゲン・カード」を利用するとお得に。

・絶品シーフード

港町だけあって、ベルゲンのシーフードは有名。とりわけ観光客に人気が高いのが、ベルゲン港のそばで開かれる魚市場です。

ベルゲンの歴史と切っても切れない関係にある魚市場。1276年に開設されたこの市場は、すでに740年以上の歴史を誇り、魚介類の取引の拠点として繁栄してきました。

冬季は観光案内所のある建物内での開催。屋内と屋外の両方で開催される夏季は、観光案内所のある建物の周囲に赤いテントが立ち、世界各国からの旅行者で賑わいます。

サーモンやタラ、サバといったノルウェーを代表する魚に加え、エビやカニなどさまざまな魚が売買されており、魚介類の味見ができるブースも。

グリルした魚介類を挟んだサンドイッチがテイクアウトできるお店や、シーフードを使った料理がイートインできるお店もあり、その場で新鮮な魚介類が味わえるのが嬉しいですね。サーモンやサバなどは缶詰としても売られているので、お土産調達も可能です。

世界遺産の町並みに、文化・芸術、食と幅広い魅力が揃ったベルゲン。

単なるフィヨルド観光のための通過点にしてしまうのではなく、1~2泊ゆったりと滞在してこの町の穏やかな空気にとっぷりと浸かってみてはいかがでしょうか。

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