エル・コルテ・イングレス (El Corte Ingles)は、スペインに住んでいる人なら知らない人はいないであろう、スペイン最大にして唯一のデパート・グループです。
エル・コルテ・イングレスのコルテ(Corte)はスペイン語で「切る」、イングレス(Ingles)は「イギリス」のことで、店名を訳すと「イギリス仕立ての」という意味になります。
79年前にできた最初のエル・コルテ・イングレスは小さなテーラーのお店でしたが、現在はスペイン国内に91店舗、ポルトガルに2店舗を展開する、スペインを代表するデパートに成長しました。
マドリードには多くのエル・コルテ・イングレスの店舗がありますが、今回紹介するのは、カステジャーナ地区北部のライムンド・フェルナンデス・ビリャベルデ通りにある、エル・コルテ・イングレスの旗艦店、カステリャーナショッピングセンター(Centro Comercial Castellana)です。
カステリャーナショッピングセンターはA館とB館に分かれ、A館では世界の高級ブランドをはじめとするレディースファッション、紳士服、子供服、靴、高級時計、高級ジュエリー、アクセサリー、化粧品などが、B館では家具やインテリアなどが販売されています。
エル・コルテ・イングレスのカステリャーナショッピングセンターへ行ったら、まず最初に地上階にあるツーリスト・インフォメーションへ向かいましょう。
ここで旅行者は、タックス・リファンド(税金還付)の案内が受けられるとともに、「10%リワードカード」をもらうことができます(入会・利用は無料)。
エル・コルテ・イングレスで買い物をする際にこのカードを提示すると、購入金額の10%分がポイントとしてカードに加算され、貯まったポイントは次のお買い物で利用できるのでお得です。
利用条件も特にないため、最初に大きな金額の買い物をし、次にポイントを使って少額のお買い物をするのがおすすめ。例えば、カードを提示して100ユーロの買い物をすると10ユーロ分のポイントが貯まるので、次のお買い物で10ユーロのものが無料で買えることになります。
A館の地上階は、高級時計、高級ジュエリー、ブランド小物、アクセサリー、フレグランス、化粧品などのフロアです。
ルイヴィトン、バーバリー、ロエベ、プラダ、カルティエ、グッチ、ミュウミュウ、カロリーナ・エレーラなど、約50のショップが並んでいます。
1階(日本でいう2階に相当)はレディースファッション、寝具、グルメコーナーのフロアです。
T.ba(テーベーアー)はカントリースタイルと馬をイメージしたファッションブランドの記事で紹介したスペインブランド「T.ba(テーベーアー)」もありました。
また、1階の一角にはパーソナルショッパーの専用ルームがあります。
パーソナルショッパーというのは、自分でデパートの中を歩き回るのではなく、部屋に座って、個人的な買い物を請け負う専門スタッフに商品を運んでもらって、手に取ってみたり、試着したりして、買い物をするスタイルのこと。
王室関係者やセレブリティ、スポーツ選手などがよく利用するそうですが、一般人でも利用は可能です(一定額以上の買い物が条件)。
ゆったりとしたソファや広い試着室があるので、ほかのお客さんを気にすることなく、ゆったりとお買い物を楽しみたい人は利用してみても良いかもしれません。
2階は紳士服、オーダーメイド、キッチン用品、旅行用品、ギフトなどのフロアで、3階は靴、子供服、ベビー用品のフロアです。
4階はヤングファッション・レディースと下着のフロア、5階はヤングファッション・メンズとおもちゃのフロア、6階はスポーツ用品、カフェテリア、レストランのフロアとなっています。
レストランフロアもよいのですが、個人的に、エル・コルテ・イングレスの中で特に旅行者におすすめしたいのが、「グルメ・エクスペリエンス」と呼ばれるグルメコーナーです。
グルメ・エクスペリエンスは、いわゆるデパ地下とイートインスペースがいっしょになったようなスペース。ワイン、生ハム、チーズ、デリ、スイーツなどの食品を持ち帰り用に買ったり、注文してその場で食べたりできるお店がいくつもあります。
商品陳列棚のすぐそばにテーブルと椅子があり、一見フードコートのようにも見えますが、きちんと料理をサーブしてもらえるスタイルです。
本格的にコース仕立てで料理を注文することもできますが、アラカルトで軽く食べたり、飲むのをメインにタパスを注文したり、といった使い方も。
今回はグルメエクスペリエンスの中にあるオーガニックレストラン、ウェルタ・デ・カラバーニャで夕食をいただきました。
ティント・デ・ベラーノは、赤ワインに炭酸水と生レモンを加えた爽やかなドリンクです。
最初に出てきたのは、もったりとしたかぼちゃのスープ、ポルチーニ茸を使ったベシャメルソースのクロケタ(コロッケ)、グリルした野菜の盛り合わせ。
野菜はスペイン産のオーガニック野菜を使っているそうで、ハッとするほど美味しかったです。
続いて、チピロネス・アラ・プランチャ(小イカの鉄板焼き)、イベリコ豚のラガルト(首の下の希少部位)のソテー、アロス・コン・カラマル(イカのリゾット)、オックステールの煮込み。
フードコート然としたカジュアルなお店の雰囲気からは想像できないほど、どの料理もおいしく、良い食材を使って丁寧に調理されているのが伝わってきました。
最後にリンゴのシャーベットをいただいて、大満足で食事を終えました。
このグルメエクスペリエンスのイートインスペースは、金曜・土曜は24:00まで、それ以外の日は23:00まで空いているので、仕事帰りに立ち寄るマドリードっ子も多いそうです。
同じフロアには、スペインならではの加工食品やお菓子がずらりと並んでいるので、ここでお土産を買っていくのもおすすめです。
日本で買うと値が張るエキストラバージンオリーブオイルも、スペインなら品質の高いものが手頃な価格で手に入ります。
また、”オリーブオイルのキャビア”と呼ばれる、粒状に加工した珍しいオリーブオイル(商品名はCaviaroli)もありました。お料理好きな方へのお土産にしたら喜ばれそうですね。
スペイン土産にぴったりの調味料といえば、イビサ島の塩が有名です。
紀元前から作られているという、ミネラルたっぷりのこの天然塩は、プレーンなものから、レモン味やお花味など、各種フレーバーが揃っています。
また、日本ではイビサ島の塩ほど知名度はありませんが、上写真のアニャーナの塩もおすすめ。
アニャーナの塩は、スペイン・バスク州のアニャーナ塩谷から採集される岩塩です。
2億年以上前に地下深くで形成された岩塩に雨水が浸透し、再び地表に湧き出す泉の水を天日と風で乾燥させて採集されることから、「古代塩」とも呼ばれています。
お菓子や食品は相手の好みがわからない、変わった調味料は使ってもらえないかもしれない……という場合も、おいしい天然塩なら、どなたにあげても喜ばれるのではないでしょうか。
高級ブランドからスペインならではのファッションブランド、そして、おいしい食品の揃うグルメエクスペリエンスも入ったエル・コルテ・イングレス。スペインに行ったらぜひ一度は足を運んでみてください。
お買い物の際には、10%リワードカードを使ってポイントを貯めることと、サービスカウンターでタックスフリーの免税書類(空港で付加価値税を還付してもらうのに必要な書類)を発行してもらうのをお忘れなく。
Post: GoTrip! https://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア
店名 El Corte Inglés (エル・コルテ・イングレス)
公式サイト https://www.elcorteingles.com/
※本記事で紹介した店舗は、カステリャーナショッピングセンター(Centro Comercial Castellana)です。住所は以下の通り。
A館 Calle de Raimundo Fernández Villaverde, 79 28003 Madrid
B館 Pº de la Castellana, 85 Madrid, Madrid
(※A館とB館は連絡通路でつながっています。)
営業時間 月~土 10:00-22:00、日・祝 11:00~21:00
(グルメエクスペリエンスは金・土が24:00まで、それ以外の日が23:00まで)