山梨県南部町にある温泉施設「なんぶの湯」が12月21日にリニューアルオープン。森のなかの温泉をイメージして、内装も温泉もすべてが生まれ変わった。

富士山の東側に位置する当施設は、地下1500メートルから湧き出す天然温泉を楽しめる。湯の成分はPH値10.3と日本で有数の高濃度アルカリ温泉だ。源泉の温度は40.3度。人体は酸性になりがちであるため、アルカリ温泉に入れば中性に近づいて、美肌効果もあるという。

内風呂のなかで最も熱い湯が注がれているのは、最上段の風呂だ。だが、体感的には、ジェット泡風呂が一番熱く感じるかも。水風呂以外の全てが温泉の湯を使っているので、身体の隅々まで染み渡る。

露天風呂は内風呂よりも熱めの湯である。今は外が寒すぎる。熱を奪われてしまって、いつまでも長風呂できそうな温度になっていた。肌に染み渡るにはちょうどよいのかもしれない。自然の音に耳を傾けながら、芯まで温まろう。

体を温めるといえば、サウナもある。女風呂ならミストサウナもあるのだが、男女共通で檜サウナがある。南部町のヒノキを使ったサウナで、匂いでも南部町に浸っちゃおうじゃないか。

風呂上がりの後、ほかほかとした火照る身体のまま、口にする食事がまた美味しいものだ。地元の食材を楽しめるフードやスイーツが用意。収容人数は200名。畳、カーペット、人工芝の3種類の床があるので、気分で選ぶのものよさそう。

がっつり食べたいなら、信玄鶏を使った、チキンカツ煮定食(1080円)がある。信玄鶏とは、富士山の麓の綺麗な水と、出荷まで添加物を排除した独自研究を重ねた飼料で育った鶏だ。低脂肪で低コレステロールなので、カロリーが気になる人にもよし。カツ煮だが、よし。

しかし、南部町に来たからには、やはり食べておきたいのは、南部茶そば(690円)だろう。小鉢でついてくる豆富も地元の豆富屋で仕入れたもの。肝心の茶そばは、コシが強くて、食べごたえばっちり。ズルルと啜れば、南部茶の風味を楽しめる。風呂上がりには、こういうのがいい。

もちろん、お茶も南部茶だ。熱々もいいが、冷え冷えのほうが南部茶の味わいがより強く感じたかも。南部茶そばを啜りながら、南部茶を啜る。もう南部茶啜り三昧である。やはり、南部町に来たからには、これぐらい南部茶尽くしをしておきたい。スイーツに南部茶プリンをひとつ食べるのもよし。

スイーツといえば、ナンブランソフト(430円)もある。モンブランのような形状で作られる南部茶ソフトクリームとバニラソフトクリームのミックス。口溶け柔らかで、口の中に南部茶の香りが、当然ながら広がる。もはや、身も心も南部茶になる勢いだ。

もちろんだが、食事処には地酒もある。ランチタイムを過ぎれば、おつまみメニューとして、富士桜ポークのとんかつや信玄鶏のタルタル唐揚げが楽しめる。もちろん、えびせんややみつきキュウリ、チャンジャに枝豆のような標準おつまみも満載。風呂上がりにキュッといけば、もうそれだけで極楽だ。

風呂上がりの楽しみは、お酒だけではない。年齢別に人気作から思わず手に取りたくなる尖った作品まで7000冊も揃えたマンガの他、直木賞や芥川賞をはじめとする500冊の本、普段は購買していないようなラインナップを揃えた200冊の雑誌に、村上春樹をはじめとする300冊のハードカバー。そう、読書タイムが楽しめるのだ。ふわふわ気分でゆったりと過ごす知的な時間が提供されているわけだ。

人口芝生にクッションがあちらこちらに置かれている。そして、ハンモック。森を冠した名前のリニューアルであるが、ここまでこだわり抜いていたとは誰が思うだろうか。この雰囲気に没入すれば癒やしタイムはより深いものになることだろう。うたた寝だってしてみたい。

知的と言えば、ボドゲもある。温泉施設とボードゲームの取り合わせの最強さってなんなのだろう。ボドゲで脳に汗をかき、風呂で身体の汗をかく。そんな楽しい休日を気の合う人たちで楽しんで、ついでに舌まで満足だ。

なんぶの湯、あなどれないな。