仮想通貨を担保にしたドルの貸し出しサービスを手がけるBlockFi(ブロックファイ)が5日、毎月仮想通貨で金利を獲得できる口座サービスを発表した。サービス開始は米国東部時間の5日が見込まれている。コインテレグラフ日本版がブロックファイのザック・プリンスCEOに取材したところ、日本での利用も法的に問題ないという見解を示した。

コインテレグラフ日本版に共有されたプレスリリースによると、ブロックファイはBlockFi Interest Account(BIA)を開始する。BIAにビットコインやイーサリアムを預けると毎月金利が支払われる。金利は年間6%。毎月複利で計算されて、「業界最高レベルとなる6.2%の年利」が得られることになるそうだ。例えば、「100BTCをBIAに1年間入れるとする。最終的にその口座には106.2BTC入ることになる」(プリンス氏)。

利用者から預けられた資産を管理するのは、カストディ (資産管理)サービスを手がけるジェミナイ(Gemini)だ。

BIAは1月にベータ版を開始。ブロックファイと出資を受けるギャラクシー・デジタルの従業員などの間で使われていた。すでにBIAには1000万ドル(約11億円)を超える資産があるという。

日本でも利用可能
コインテレグラフ日本版がプリンスCEOに確認したところ、BIAは日本をはじめ世界中で利用できる。ブロックファイが日本の法律家と相談しところ、日本には現在、仮想通貨で利息を払う口座への規制がないことを確認したそうだ。

先月末、日本を訪問していたプリンス氏。日本の仮想通貨取引所とも提携し、例えば取引所のWebページの1セクションに「利子を稼ごう」というセクションを設けて、BIAのサービスを展開できるか模索したいと話していた。

「私が理解している限りでは、日本にはビットコインで利子を稼げるサービスがない。だから米国の利用者と同じように、日本の利用者にとっても魅力的なサービスになると考えている」

BIAの仕組み
ブロックファイは、BIAで金利を生み出すため、資金調達先であるフィデリティやギャラクシー・デジタルなどの機関投資家に仮想通貨を貸し出している。プリンス氏によると、彼らには仮想通貨を借りる理由が2つあると解説した。

「1つは、トレード戦略や流動性の供給のため、彼らはもっと大きな資産ベースを持ちたい。(中略)(マーケットメーキングをしたい場合)ビットコインでしかトレードできない場所では、ビットコインを持っていないといけない。しかし、(例えば)2億ドルのビットコインを買うのではなく、借りた方が良い

プリンス氏は、もう1つの理由について、「仮想通貨に特化したヘッジファンドがショート(空売り)をしたい時」と解説した。

機関投資家への仮想通貨ローンの仕組みは、次のように機能する。
例えば、ある機関投資家は、ビットコインを借りたい場合、それ相応の現金をブロックファイに預ける。もしビットコインの価格が急上昇したら、ブロックファイが機関投資家に対してマージンコールを出し、もし反応がなければ、その機関投資家の現金を使ってビットコインを買う。

ブロックファイがすでに手がけている、仮想通貨を担保にした法定通貨ローン提供のリスク管理システムとちょうど真逆の機能となっている。

先日、コインテレグラフ日本版がプリンス氏にインタビューをした際、プリンス氏は仮想通貨の利用ケースの拡大を目指すと話していた。すでに展開している仮想通貨ローンに加え、今年の第4四半期には米国で仮想通貨クレジットカードを立ち上げる方針だ。

世界的に低金利が続く中、今回のBIAが、誰でも簡単に仮想通貨が使える世界の実現に向けた一歩となるか、注目だ。

(記事提供:コインテレグラフ日本版)
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