日本国内の「市庁舎」というと、住民課、年金課、住宅課など市の行政事務を取り扱う場所であるため観光するイメージがないかもしれません。
しかしながら海外では、行政の中心地である市庁舎であっても、様々な歴史展やイベント、さらには建物自体が歴史的建造物で、観光客案内用にガイドツアーを設定しているところも少なくありません。
今回は、建物自体が歴史的建造物であり、かつてはヨーロッパ最高位の建築に位置付けられた市庁舎「ダブリン市庁舎(Dublin City Hall)」をご紹介しましょう。
ダブリン市庁舎は当時は市庁舎ではなく、王立証券取引所として1769年から1779年の10年間をかけて建設されました。
建設された当時は日本は江戸時代にあたり、日本においては1774年に前野良沢・杉田玄白などが「解体新書」を発表したり、1776年には平賀源内がエレキテル器械を完成させたり、と発見や発明が多くあった10年間でした。
市庁舎は、2階から入るように設計されており、入館すると円形のエントランスホールで屋根がドーム状になったロタンダという造りが見えます。
ロタンダとは円形の建物のこと。この円形の証券取引所では、当時商人たちが商談をしていました。
1700年代後半、アメリカ独立やフランス革命の影響でアイルランドにも独立の機運が高まったため、スコットランドと同様にアイルランドを併合することとしたイギリスは「合同法」(Act of Union)を成立させ、翌年アイルランドを併合します。
併合後のアイルランドは産業革命の波に取り残されてしまい、さらにジャガイモ大飢饉が発生、飢饉前には800万人の人口でしたが、たった70年でおおよそ半分の410万人にまで減少しまいます。
残念ながら、この建物は王立証券取引所としての役割を終えてしまいますが、1851年には市政の場所として改修され、翌年の1852年には、ダブリン市庁舎として新しく生まれ変わります。
このダブリン市庁舎の中の展示で見逃してはならないものがもう1つ。
それが階段を降りた1階部分では歴史展です。
歴史展では、837年のバイキングの到来から、中世、最も栄えたジョージ王朝時代、現在までのダブリンの移り変わりを見ることができます。
ダブリンに来たら、ダブリンの歴史が詰まったダブリン市庁舎で歴史に想いを馳せてみるのはいかがでしょう。
きっとこの街がもっと好きになるはずです。
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施設名 ダブリン市庁舎(Dublin City Hall)
所在地 Dame Street, Dublin 2.
開館日 月曜日から土曜日 10時から17時15分
公式ホームページ http://www.dublincity.ie