その複雑な歴史背景上、ローマ時代から現在に至るまで様々な人種が混在しながら生活しているトルコ最大の都市、イスタンブール。
トルコ人だけではなく、ギリシア人やユダヤ人、アルメニア人、最近ではシリアなど国境を接する国からやって来る人も増え、イスタンブールのそれぞれの地域にコミュニティを形成して暮らしています。
1453年にオスマン帝国のメフメト2世がコンスタンティノープルを陥落させると、この街の人口は一気に減少しました。住民を増やして街の再建復興に努めようとしたメフメト2世は、現在のイスタンブール旧市街バラットにユダヤ人やギリシア人を住まわせました。
彼らは教会やシナゴーグ、家屋などを建ててそこで独自のコミュニティを築き上げながら生活してきましたが、時代とともにアジア側のクズグンジュクに居を移す人が増えたりトルコ共和国建国後のトルコ・ギリシア間の住民交換などもあり、今ではバラットに住むユダヤ人やギリシア人はかなり少なくなりました。
人口が減ったせいもあり、手入れされていない昔ながらの家屋や街並みが残っているため、バラットはどこかノスタルジックで懐かしい気持ちを思い起こさせてくれるエリアになっています。
最近になって、このエリアならではの風情を活かしたカフェやアンティークショップなどが続々とオープンし始めました。バラットでの歴史散策がてらに立ち寄ることができるレトロで個性的なカフェをいくつかご紹介しましょう。
色付きのガラス窓と、店内いっぱいに飾られた植物が印象的なのは「ポップス・バラット」。バラットならではの古い家屋を改装しているので、外観だけ見ると「これがカフェ?」と思うかもしれませんが、中に入るとその個性あふれる癒しの空間に驚かされます。
おしゃれに敏感でアーティスティックな若者に人気のカフェは「クックライフ・バラット」。二階部分が張り出しになっている昔ながらの建物を改装して造られたカフェで、新市街のおしゃれなカフェ顔負けのメニューが揃っているのが特徴です。インテリアのひとつひとつにもセンスが光っています。
曲がり角と急坂が多いバラットの地理を活かした「カフェ・ナフタリン」は、坂道と坂道が交差するところにある一際目立つカフェです。アンティークな雰囲気を楽しむことができるのはもちろん、このカフェの人気の秘密は気まぐれで店内に顔を出す看板猫。猫と一緒にカフェで時間を過ごせるのは、猫の街イスタンブールならではです。
廃れた雰囲気の中で新しい文化が再び花開きつつあるイスタンブールのバラットは、なぜか何度もじっくりと歩いてその歴史の奥深さを確かめたくなる不思議なエリアです。カフェ巡りを楽しみながら、郷愁に満ちた下町バラットの散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。
Post:GoTrip!http://gotrip.jp/ 旅に行きたくなるメディア
名前 ポップス・バラット
所在地 Balat, Ayan Cd. No:62, 34087 Fatih/İstanbul
名前 クックライフ・バラット
所在地 Balat, Akçin Sk. D:No: 3/B, 34087 Fatih/İstanbul
名前 カフェ・ナフタリン
所在地 Balat, Yıldırım Cd. No:27/A, 34087 Fatih/İstanbul