ロマンチック街道の終点の地であると同時に、ノイシュヴァンシュタイン城訪問の玄関口とマなる町フュッセン。レヒ川沿いに広がる町を歩けば、パステルカラーの可愛らしい家々が目に飛び込んできます。「ノイシュヴァンシュタイン城訪問のおまけ」程度に捉えられている事も少なくないですが、教会や博物館、町全体が見渡せる見晴らしスポットなど、フュッセンの町自体にも見どころは多いです。
そんなフュッセンの町から今回紹介するのは、中心部にある小高い丘の上にそびえるホーエス城。町の通りから見上げる姿が立派であるほか、中庭では壁一面に描かれている美しい「だまし絵」が鑑賞できます。
ホーエス城の建設が始まったのは1291年のこと。バイエルン公爵ルートヴィヒが当時の法に逆らう形でお城の建設を始めたのだそうです。その後お城は未完のままアウグスブルク司教フリードリヒ1世の手にわたり、介護施設として拡張が進められたほか司教の夏の離宮としても使用されました。
お城が現在の姿になったのは、15世紀後半から16世紀にかけて。当時の所有者であった司教フリードリヒ2世により、塔や美しい部屋の数々が造られます。この後に紹介する中庭のだまし絵も、この時期に描かれました。
それではさっそく中庭に向かいましょう。お城に沿ってなだらかな坂を上っていくと、やがて中庭に続く小さな門が目の前に現れます。
門に寄り添うようにして立つ塔。レンガが積まれているように見えますが、これはだまし絵。もうここから、だまし絵の世界の始まりです。
中庭では周囲をかこむ壁一面にだまし絵が描かれています。一見すると窓枠や出窓があるように見えますが、本当は平らな壁。だまし絵が巧妙すぎて、一目見ただけではどこまでが絵なのか分からないくらいです。
窓枠の絵は全て同じように描かれていると思いきや、よく見ると枠の形が微妙に違うなど遊び心たっぷり。出窓部分の装飾も美しく、つい細かい部分まで観察してしまいます。
反対側の壁でひときわ目を引くのが、上のほうに描かれている日時計。時計の上に記されている「1499」の数字は、これらの絵が描かれた年を表しています。
それにしても、これらの絵はどの様な意図で描かれたのでしょうか?「当時の城主の趣味」、「資金が尽きた」など様々な憶測ができますが、詳しい事は分かっていません。
今回は割愛しますが、城内ではこの地域における15、16世紀の絵画や彫刻を集めたギャラリーのほか、部屋の一部を見学可能。時間に余裕があれば、ぜひ場内の見学もしてみてください。
フュッセンの中心に堂々とそびえるホーエス城。壁に描かれただまし絵は細かいところまでこだわりが見られ、ついつい時間を忘れて見入ってしまいます。ロマンチック街道終点の地で、壮大なだまし絵の世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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