西日本を襲った記録的な豪雨で、各地での被害を11日放送の『あさチャン』(TBS系)が報道。被災地での土砂崩れや、倒壊した家屋、行け不明の家族を捜す被災者、そして不幸にも亡くなった方々を特集した後に、先週5日(木)に開かれた自民党議員らの懇親会・通称「赤坂自民亭」の話題を取り上げ、猛烈に批判した。

番組では「避難指示の中…宴会に批判も 首相幹部も出席『赤坂自民亭』」と題し、5日の木曜日の晩、赤坂の議員宿舎に安倍総理や大臣、若手議員が集って、お酒を交えての会合を開いていたことを問題視。片山さつき議員や西村康稔議員のツイッター上にアップされた、首相がグラスを持って上機嫌な姿や、参加議員たちの集合写真を画面に映しながら、楽しげに見える宴会の模様を伝え、「甚大な被害の出た広島が地元の岸田政調会長や、緊急時は自衛隊の陣頭指揮をとる小野寺防衛省も、この赤坂自民亭に出席していました」とナレーションをつけて放送した。 

赤坂自民亭を問題にしたVTR終了後、番組MCの夏目三久は「先週木曜日に撮られた一枚の写真から政府与党の危機意識はどうなっているんだと波紋を広げています」とコメントすると、元TBS政治部長の龍崎孝氏は「政治の第一の使命は国民の生命と財産を守ること。これは政治家なれば誰でも知っていることです」と厳しい口調で発言。

そして画面には、首相を囲んで自民党の大臣や議員が集まってにこやかに乾杯している様子を映し出し、「はたして、こういう方々がお酒を飲みながら被災地のことをどう考えていたのかを考えますと、まさに責任感の無さに呆れるばかりだと。安倍政権はここまで続いてきましたけれど、まれに見る大失態じゃないかと」「今から心を入れ替えて被災地の救出に全力をあげていただきたい」と、懇親会に出席した自民党議員への説教じみた持論を展開した。

そもそも、先週5日(木)の時点では、気象庁による豪雨予報の緊急記者会見などは開かれていたものの、実際に大災害となったのは6日(金)以降であり、現実論として、ここまで被害が拡大するとは誰しも予想は出来ていなかった。もし、「平成30年7月大豪雨」と名付けられるまでの大規模の豪雨が予測されていたら、自民党だって懇親会を間違いなく中止していたことだろう。

ましてや、自民党議員を批判する前に、TBSは5日の時点で、大豪雨の緊急特番を組むなどしていたわけでもなく、ニュース番組のスタッフですら、ここまで大きな事態になることは想定外だったはずだ。

龍崎氏が、安倍総理や自民党議員の危機意識の無さを批判していたが、先週の赤坂自民亭が開かれた翌日である金曜日は、豪雨よりもオウム真理教の松本智津夫以下死刑囚7人の死刑執行の方を何より取り上げていたのは、各テレビ局のニュース番組やワイドショーではないのか。

それを後出しじゃんけん的に、いまになって先週のことを掘り出して危機意識が足りないというのは揚げ足取りでしかないだろう。

また、このニュースを『あさチャン』では、豪雨の被災地で行方不明者を捜索している人へのインタビューや亡くなった犠牲者の知人が涙する姿の映像を放送した流れのすぐ後に、スタジオでフリップボードに「避難指示の中…わいわい“酒宴”」とタイトルをつけて、安倍首相以下、仲間の議員たちが笑顔でグラスを片手に乾杯している画像を貼り付けて取り上げている。朝の忙しい時間、たまたまテレビを観ていた人にとっては、大災害の最中、自民党が宴会をしているかのように写ったことだろう。これは目に余るほどの印象操作であり、しかも被災地の人たちをフリにして、自民党、そして政権批判につなげるのは悪意しか感じ取れない。TBS、そして『あさチャン』の制作班は報道機関としての資質が問われそうだ。