魑魅魍魎がひしめく千年の都、京都。一度その魅力に絡めとられたら、何度訪れてもまだ足りない…それほどまでに、京都という街には多種多様な楽しみがあります。

いま旬なのが、京都のアートなお寺をめぐる旅。数百年の歴史にモダンなアートが加わり、新たな魅力が花開いたスポットもあります。

写真好きにもおすすめ、今度行きたい京都のアートな寺院5選をご紹介します。

・青蓮院門跡

賑やかな祇園から目と鼻の先、知恩院に寄り添うようにして建つのが「青蓮院門跡」。平安時代に最澄が比叡山延暦寺に造った僧坊「青蓮坊」をその起源とし、小さいながらも代々皇族や貴族が住職を務めてきた由緒あるお寺です。

ここで話題を呼んでいるのが、「Ki-Yan」こと木村英輝氏が描いたロックな襖絵。

「平成の琳派」とも称される木村英輝氏は、日本のロック黎明期に数々の音楽イベントをプロデュースし、還暦を迎えてから絵師になったという異色の経歴の持ち主で、国内外で200カ所以上の壁画を手がけてきました。

青蓮院門跡にKi-Yanの襖絵「LOTUS」が登場したのは2005年のこと。蓮のモチーフを大胆に用いたロックな襖絵は、青蓮院門跡に新風を巻き起こしました。

「LOTUS」は、「青の幻想」「生命賛歌」「極楽浄土」の3つのパートからなり、一間ごとに少しずつ趣が異なります。

一度見ると忘れられない鮮烈な青が印象的な「青の幻想」。カエルやカニ、カメといった水中の生き物たちが楽しげな姿を見せる「生命賛歌」。どこか侵しがたい静謐さを漂わせる「極楽浄土」…

これまで見たことがないほど斬新な襖絵でありながら、不思議と青蓮院門跡の世界に溶け込み、まったく新しい魅力が花開きました。

・建仁寺

祇園の奥にたたずむ「建仁寺」は京都最古の禅寺。賑やかな花見小路の突き当たりに、花街の中心とは思えないほどの静寂が広がります。

建仁寺は、1202年に源頼家が寺域を寄進し、栄西禅師によって開山された臨済宗建仁寺派の大本山。創建当初は天台宗と密教、禅の三宗兼学でしたが、のちに純粋な禅寺となり、現在に至っています。

そんな建仁寺では、新旧のアートが揃い踏み。建仁寺アートのアイコン的存在が、2002年に日本画の大家・小泉淳作氏によって描かれた法堂の「双龍図」。

お堂の天井いっぱい、実に108畳分もの大きさに描かれた二匹の龍の天井画は、今にも動き出しそうなほどの迫力です。

一方、染色作家として活躍する鳥羽美花氏が2014年に奉納した小書院の襖絵は、古風なモチーフでありながらどこかモダン。

目の覚めるような青で描かれた「舟出」と、水辺の静けさをモノトーンで表現した「凪」は、観る者をいつか見た心象風景へといざないます。

・随心院

山科にある「随心院」は、知る人ぞ知る小野小町ゆかりのお寺。991年に創建された真言宗善通寺派の大本山で、創建当時は「牛皮山曼荼羅寺」と称されていました。

京都市内中心部から離れているため観光客の姿も少なく、堂内を歩けば木の床がミシミシと音を立てる…数百年も時が止まっているかのような随心院は、正真正銘の穴場です。

そんなお寺が「アート」なワケは、「能の間」に奉納されている襖絵「極彩色梅匂小町絵図」。「だるま商店」という2人組の若手アーティストが描いたもので、2009年に完成しました。

「はねず色」と呼ばれる鮮やかな薄紅色を基調としたこの作品は、はっとさせられるほど色鮮やか。その名の通りの極彩色に目を奪われ、一瞬にして物語の世界に引き込まれてしまいます。

「極彩色梅匂小町絵図」に描かれているのは、小野小町の生涯を中心に据えた平安時代の日本。

小野小町が秋田県で生まれて生活する様子、仁明天皇のもとで宮仕えをする様子、宮仕えを辞し小野の地で過ごす様子、小野を出て諸国を放浪する様子などが、神話を交えつつ表現されています。

くっきりと描かれた箇所と、ぼんやり描かれた箇所が幻想的なグラデーションを生み出し、夢と現実の区別もつかなくなってしまいそうな極彩色の世界にようこそ。

・東福寺

東福寺は、言わずと知れた紅葉の名所。ですが、ここ数年人気急上昇なのは、有名な通天橋ではなく、本坊庭園。昭和を代表する作庭家・重森三玲が手がけた庭園で、「フォトジェニック」「レトロなのに新しい」とSNSなどで話題になっています。

方丈を囲むように設けられた4つの庭は、鎌倉時代の質実剛健な禅様式を基調としつつも、現代の抽象芸術の要素を採り入れ、1939年に完成しました。2014年には国の名勝に指定され、「国指定名勝 東福寺本坊庭園」となっています。

なかでも注目なのが、市松模様を配した北庭。古来より伝えられてきた市松模様ですが、庭園に用いられるのは斬新な試みでした。

緑鮮やかな苔とグレーの板石とのコントラストが美しく、「こんな日本庭園があったんだ!」という新鮮な驚きに包まれます。

日本庭園史上、初めて星座を表現した東庭や、サツキの刈込みと葛石(かずらいし)で立体的な市松模様を表現した西庭、枯山水に現代的なアレンジを加えた南庭も必見。知らなかった日本庭園の世界にふれてみてください。

・毘沙門堂 勝林寺

最近SNSで人気に火が付き、全国的なブームとなっているのが「花手水(はなちょうず)」。

寺社の参拝前に手や口をすすいで身を清めるところを「手水舎(ちょうずや)」といいますが、そこにお花を浮かべて飾ったものは「花手水」と呼ばれます。

京都で美しい花手水が見られる寺社のひとつが、「毘沙門堂 勝林寺」。東福寺の塔頭で、東福寺から徒歩圏内にあるので、東福寺とセットで訪れるのがおすすめです。

仏教四天王のリーダーである毘沙門天には財福・戦勝のご利益があり、上杉謙信が信仰していたのも毘沙門天でした。

勝林寺は住宅街の中にある小さなお寺ですが、花手水は目を見張るほど華やか。色とりどりのお花はもちろんのこと、ガラスの石やカエル、お地蔵さんの人形など、さまざまなキャラクターたちがカラフルな小宇宙に彩を添えます。

写真好きなら、夢中でシャッターを切ってしまうこと必至。

見るだけで笑みがこぼれる勝林寺の花手水で、元気をチャージしてみませんか。公式Twitterで花手水の情報を発信されているので、事前にチェックして訪れてみてください。

・アートな寺社探訪にぴったりのホテル「京都悠洛ホテル Mギャラリー」

今回ご紹介した京都のアートな寺院探訪にぴったりのホテルが、「京都悠洛(ゆら)ホテル Mギャラリー」。

三条大橋のそばにたたずむシックなプレミアムホテルで、2019年4月に「Mギャラリー」ブランドの日本第1号店としてオープンしました。

京都という土地柄にふさわしく、ホテル全体のコンセプトは、「タイムトラベル」。明治時代の「華族の邸宅」をイメージしており、非日常的な高級感を備えながらも、心安らぐプライベート感が魅力です。

京都の雅(みやび)とヨーロッパの美意識が融合した「京都悠洛ホテル Mギャラリー」は、朝から晩まで24時間感性を刺激してくれるストーリーのあるホテル。

中央の吹き抜けに本物の竹のガーデンを配したロビー、「大正ロマン時代の華族が最初に客人をお迎えする応接室」をコンセプトにしたチェックインスペース、レトロモダンな客室、クラシカルなバーラウンジなど、すべてに洗練されたこだわりが詰まっています。

京都の街に負けないほど、「京都悠洛ホテル Mギャラリー」にも発見がいっぱい。アートな寺社で感性を刺激されたら、ホテルに戻ってからもアートな旅の続きを楽しみましょう。

Post: GoTrip! http://gotrip.jp/旅に行きたくなるメディア

【ホテルの情報】
「京都悠洛ホテル Mギャラリー」
所在地:京都府京都市東山区大橋町84
電話:075-366-5800
https://kyotoyurahotel-mgallery.com/ja/