カンロ飴やピュレグミで知られるカンロ株式会社が、2020年決算と2021年事業計画に関するオンライン発表会を、210日に実施した。その中では、「Kanro Vision 2030」という長期ビジョンについてのプレゼンテーションも行われた。

2020年度のキャンディ市場の動向、カンロの動向と、決算内容に関する発表では、やはりコロナ禍の影響を大きく受けたことが説明された。カンロの売上高は前年比でマイナス3%。ただし、キャンディ市場全体では前年比で全チャネルにおいて小売販売金額が減少しているが、カンロはスーパーマーケットでは前年比プラス4.8%、ドラッグストアでプラス6%と伸長。減少したコンビニエンスストアでも、マイナス19.6%の市場に対してカンロはマイナス7%と小さな下げ幅となった。

キャンディ市場が減少している中でカンロが健闘した理由としては、「ポケモンとのコラボのピュレグミなどの話題性のある商品とコロナ禍に対応した商品などがよかった」と、発表の中では分析された。

2030年に向けての長期ビジョン

発表会の最後には、三須和泰代表取締役社長が「Kanro Vision 2030」についてプレゼンテーションした。Kanro Vision 2030とは、2030年の時点でのカンロ像を示す長期ビジョンの指標である。

Kanro Vision 2030での新スローガンは、「Sweeten the Future」。これには素材と機能性を軸とする商品・サービスで健康と笑顔に満ちた未来を創造するという願いが込められているという。

2030年までに達成する目標として、財務指標では「売上高はコア事業で350億円、新規事業で200億円」など、非財務指標としては「CO2排出量を2019年比で30%減」などが掲げられた。

Kanro Vision 2030のための重点戦略は、「価値創造」「ESG経営」「事業領域の拡大」の3つだという。価値創造とESG経営においては、人々が抱く健康不安と地球の環境問題に対して事業を通じて取り組み、事業領域の拡大においては、コア事業の拡大、海外市場への進出、キャンディにとらわれない新たな市場と製品の創造などを行なうとのことだ。

中国のメーカーとの相互の総販売店契約

海外での展開に関しては、カンロが中国のAMOS社と相互の総販売店契約を結んでいることも発表された。AMOSは世界各国への輸出事業を積極的に行なっているキャンディメーカーで、カンロは202011月にAMOSの「4Dグミ」の日本における総販売店契約を締結。日本国内での4Dグミのブランド構築・拡販を行なう。AMOSもカンロ商品の中国における総販売店契約を締結し、20212月より中国へのカンロ商品の輸出が行なわれる。中国への進出は海外展開の第一歩であり、世界へのさらなる展開も見据えているという。

カンロは2017年にも長期ビジョンを発表しているが、今回のKanro Vision 2030は時代の変化により柔軟かつ具体的に対応したものとなったようだ。今年の8月に四半期決算を発表する際には、Kanro Vision 2030の実現のための中期経営計画も発表される予定となっている。