仏事関連総合サービスの株式会社メモリアルアートの大野屋が、「ソウルシリーズ」の新ショールームを東京都立川市にオープンさせた。ソウルシリーズは手元供養のための商品であり、その新商品も発売された。
メモリアルアートの大野屋は2010年からソウルシリーズを発売。この10年間で、販売個数は発売当時と比較して約8.5倍にも伸びている。同社の担当者はその要因を、「通常のジュエリーと遜色のないデザインにすることで、多くのお客様から選んでいただけています」と語る。
商品開発にあたっては、購入者や販売店の要望も取り入れている。その声のひとつが、「外見からは手元供養のためのアイテムと分からないようにしてほしい」というものだ。
通常のジュエリーとまったく変わらない見た目
ジュエリーとして着用する「ソウルジュエリー」は、専用の器具を使うことで開閉し、内部に遺骨などを収納できるが、一見して、そうした機能があるとは分からない見た目だ。
同社の担当者に聞くと、「ご遺骨などを入れる機能に特化して、見た目が洗練されてない他社の商品もあるのですが、ソウルジュエリーは、“通常のジュエリーとして身につけられるものを作ろう”というところからスタートしています。購入したお客様からは、“手元供養のためのアクサリーを着けていると分からないところが良い”というお声も多くいただいています」とのことだ。
新商品の「プルトワ」もふくめて、非常にスタイリッシュなデザインとなっていて、どんなシチュエーションでも着用することができそうだ。
また、メンズ用の新商品として、ファイテン社とのコラボレートペンダントも発売された。「50代~70代ぐらいの男性のお客様が増えているので、その世代の方がスポーツをしながら使えるものはないか?」という要望から、その層に浸透しているファイテンとのコラボ商品を手がけたのだという。
そのほか、携帯することが可能なミニ骨壷「ソウルプチポット」シリーズの「i(アイ)」、自宅でソウルジェエリーを収納して飾るための「ソウルジュエリーボックス」なども新商品として発売された。
手元供養を行なう人の大半は、従来の供養も行なっている
ソウルシリーズは、遺骨や思い出の品などを身近なところに置いて故人を偲ぶ手元供養のためのものだが、お墓などでの従来の供養と並行して手元供養を行なっている人が多いという。
メモリアルアートの大野屋は「ソウルシリーズ」の購入者を対象にアンケートを行なっている。その回答では、現在、墓を所有している人、またはこれから墓を購入しようとしている人が合計して約8割だったという。
つまり、供養の方法として手元供養だけを選択しているのではなく、「故人を身近に感じたい」などといった思いからソウルシリーズを利用している人が多いのだ。
実際にソウルシリーズを活用しているかたに、話を聞くことができた。2019年10月にソウルジュエリーの「メビウス K18イエローゴールド」を購入した金子雅美さんにインタビューした。
勇気を出したい日などにソウルジュエリーを着用
──ソウルジュエリーを購入したきっかけを教えてください。
金子 父が亡くなって、母と姉と妹と私の4人でソウルジュエリーをそれぞれ購入しました。母一人が故郷に住んでいて、私たち姉妹は東京にいるんですが、母がさびしがって納骨を一周忌まで待ちたいと言ったんです。お骨に対して母の思いがあるものなんだなと分かりまして、分骨などについてポツポツとネットで調べ始めたときにソウルジュエリーがあることを知ったんです。
──従来の供養と手元供養を並行してなさっているかと思いますが、手元供養を提案した際、ご家族はどうおっしゃっていましたか?
金子 ソウルジュエリーについて「こういうものがあるよ」と言った瞬間に、みんな「いいね」と賛成してくれました。母が一番よろこんでましたね。母は「納骨してしまうと、あっけないもんだね」と言っていましたが、お骨が手元に残ることで心強く、さびしくないんだと思います。母はずっとソウルジュエリーを着けているみたいです。
──金子さんご自身はどういうときに、ソウルジュエリーを着けていらっしゃいますか?
金子 仕事のプレゼンの日などに、身に着けています。父をとても尊敬していたので、一緒にいる感じがして、勇気がもらえるんです。ソウルジュエリーのデザインが自然なものなので、普段から身につけられるのは、とってもいいなと思います。
──ソウルシリーズを使っての手元供養を検討しているかたがいたら、どうアドバイスなさいますか?
金子 私たちは手元供養をして、後悔をすることは何もありませんでした。家族に提案したときも、全員が「いいね!」と言いましたし、それぞれが好みに合わせてジュエリーを選ぶ楽しさもありました。父は73歳と、大往生と言うには少し早い年齢で亡くなってしまったので、ソウルジュエリーを手元に置くことで心強さが感じられますし、いい区切りになったんじゃないかと感じています。そういった意味でも、お勧めできます。
ソウルシリーズの購入希望者から手元供養についての相談がメモリアルアートの大野屋に寄せられるという。その中の代表的なものは「分骨に届け出は必要か」というものだが、ソウルシリーズで収納する程度の量であれば、届け出は必要ないという。
なお、今回取材した新ショールームは取扱店向けのものであり、現時点では一般の購入者の利用は受け付けていないとのことだ。