以下は、フィスコ・マーケットレポーターのタマラ・ソイキナ(ツイッター@ crypto_russia)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2022年4月8日に執筆

最近日本の仮想通貨(暗号資産)取引所で新しく海外のブロックチェーンプロジェクトが上場する事例が増えてきました。日本ではあまり知られていなくても、世界的に大きなコミュニティを持ち、将来性のある野心的なプロジェクトは多くあります。

今回は、今年1月にcoindeskやGrayscaleなどを擁するデジタルカレンシーグループ(以下、DCG)との戦略的提携を発表したプライバシー関連プロジェクト、RAILGUNのRAILGUN DAOアドバイザーであるアラン氏がインタビューに答えてくれました。

Q. まずはじめにRAILGUNの簡単な紹介をお願いします
A. RAILGUNは、zk-SNARKの技術を使い、Ethereum上のあらゆる取引やスマートコントラクトのやりとりにプライバシーをもたらすスマートコントラクトシステムで、他のいくつかのEVM互換ブロックチェーンと同様です。簡単に言えば、RAILGUNはDeFiにプライバシーをもたらすものです。
RAILGUNはレイヤー1ソリューションで、ブロックチェーンのプライマリーレイヤーで動作し、イーサリアムのようなチェーンの完全なセキュリティとマイニングハッシュパワーの恩恵を受けています。RAILGUNプライバシーシステムを使用する場合、サイドチェーン、追加レイヤー、新しいトークンは必要ありません。RAILGUNは、スマートコントラクトに基づくすべてのクリプトのやりとりにプライバシーをもたらす力を持ち、既存のシステムがこのプロトコルに対応する必要はありません。
RAILGUNはパーミッションレスなので、どんな標準的なERC-20トークンでも互換性があります。USDCやTetherのような人気のステーブルコインから、立ち上げたばかりのプロジェクトのまったく新しいトークンまで、ユーザーはトークンをシステムに預けるだけで、追跡不可能になり、これまで通り使い続けることができます。dAppsについても同様で、dAppsやdefiシステムを承認する必要はなく、すべてRAILGUNを通じてデフォルトで識別情報なしで使用できるようになります。RAILGUNは、DeFiにプライバシーをもたらします。

Q. DCGとの戦略的提携は、トークン投資だけでなく、ステーキングやDAOへの寄付、またDCG子会社を通じたRAILGUNへの支援を含むものでした。どのような経緯でこのようなユニークな提携が実現したのでしょうか。
A. 仰る通り、DCGとの提携は非常にユニークな構造になりました。しかしこれは私たちにとって興味深いプロセスでもありました。
RAILGUN Privacy ProjectはDAOです。そのため提携先にトークンを渡す権限を持つ中央集権的なチームも存在せず、提携を実現させるためには、提携のためのトークン発行提案に対し、DAOメンバーがオンチェーン投票するというプロセスが必要でした。またその中で、この提携の詳細を明らかにせずに投票を行うこともまた難しく、「4大企業のファンドX」との提携という形で、DAOの合意を得ることができました。しかしコミュニティが行ったオンチェーン分析によって、提携先がDCGだということはたった2時間ほどで特定されてしまいました。
寄付された700万ドル相当のステーブルコインの用途は、DAOによって決められるのですが、開発者の誘致やマーケティング、ステーキングリワードなどに使われるだろうと見込んでいます。
さらにRAILGUNはDCGの多様な子会社を通じて、マルチチェーンでのテスト環境やノード構築、DEX統合のためのSDKのドキュメンテーションなど様々な面でサポートを受けることができます。

Q. RAILGUNにはマルチチェーン対応を拡充していく計画があるかと思います。将来的にどのようなビジョンを実現するのでしょうか?
A. RAILGUNの美しいところの一つは高い互換性で、alt_bn128と呼ばれる計算を実行できるあらゆるチェーンに統合することができます。また既に計画されているPolkadotやSolana以外に、NearやAvalanche、TerraなどのL1チェーンにも注目しています。
私たちは対応できるチェーンの数を増やすだけでなく、RAILGUNが対応しているチェーンにおいて、ユーザーがRAILGUNの真価を十分に体験できるような統合環境を構築することをより重要視しています。ゆくゆくはNFTの保有や取引についても対応していく見込みです。