自身の発言がブーメランとなるお得意芸は立憲民主党だけではなさそうだ。れいわ新選組の山本太郎代表(47)が1日、不定例記者会見を開き、同党所属の水道橋博士参院議員(60)がうつ病と診断され、議員活動を休職していることを公表した。
山本氏は「21日に博士から私に電話があった。深刻なうつ状態であると連絡を受けた」とし、「先週、医師からドクターストップが出た。年内の仕事は難しいと。博士は医師に辞職したいと直接伝えたそうですが、今の時点で判断しないほうがいいと休職することにした」と現状を報告した。
さらに「博士みたいに考えが深かったりとか、様々な知識があるって人に関しては更にアップデートしていかなければならないっていう大きなプレッシャーがあったんだろう。多大なプレッシャーを抱えながら、毎日この永田町という所に足を運んでたんだと思うと胸が痛い」と思いやった。
続けて「国会議員がうつ病で休職することに、ご批判の声が出てくるかもしれない。私は意義のある決断だったと思っている。この国には過労であったり、仕事を原因とした精神疾患、自ら命を絶つ人が多く存在する。国会議員が病気について開示し休むことで、いま苦しまれている方々に対しても、希望を与えるものじゃないかと考えます」とコメント。さらに「立ち止まれるきっかけになればいい。命より大切な仕事はありませんから」と、誹謗中傷や批判報道が出ないよう理解を求めた。
山本氏の記者会見は多くの注目を集め、ツイッターでも関連ワードが続々とトレンド入りし、多くの意見が交わされている。とくに物議を醸しているのは山本氏の「命より大切な仕事はありませんから」という発言について。尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件において、「sengoku38」名で映像をYouTubeへ最初に投稿した元海上保安官の一色正春氏は自身のツイッターで、山本氏の発言を伝える記事を引用しつつ「命より大事な仕事は、あるよ そんなことも知らないで国会議員やってるの?」と投稿。
元産経新聞記者でフリーライターの三枝玄太郎氏も同じく「山本太郎氏は当然、水道橋博士氏の心身の状態を知っていたんでしょ? それで立候補させるってあなたの責任も大じゃないですか。何が「命が大事」だよ。さんざん安倍さんの病気をバカにしていたくせに。」と批判。
9.4万人のフォロワーを持ち、“メディアリテラシー”について執筆活動も行うインフルエンサーの藤原かずえ氏も「山本太郎代表 休職することにご批判の声が出てくるかもしれない。私は意義のある決断だったと思っている→この主張は合理的です。」と指摘したうえで「病気で休職することを批判する社会は病気です。ただ安倍総理の辞任の原因となった病気を揶揄した山本代表は社会を病気にした一人でもあります」と断罪した。
山本氏がここまで批判されるのは12年9月26日、潰瘍性大腸炎という難病を抱えていた安倍晋三首相(当時)に対し「またポンポン痛なるちがうやろな」と侮辱するような投稿をしていたことに起因する。現在、その投稿は削除されているが、SNS上ではその投稿のスクショ画像が「ブーメラン」「ダブスタ(ダブルスタンダード)」といった言葉とともに拡散している。
この場合、山本氏に批判の矛先が向くのは然るべきだが、うつ病で議員活動を休職した水道橋博士を責めるのはお門違いだろう。うつ病に限らず、病気になったら堂々と休職できる社会になってほしいものだ。