7月29日(月)、東京都内にて「日本サイバーセキュリティファンド」の設立記者会見が開かれた。同ファンドは、セイバーセキュリティ企業が出資してセイバーセキュリティ企業に投資するもので、日本で同種のファンドは初めてのものとなる。

発起企業は、ウエルインベストメント株式会社、兼松株式会社、兼松エレクトロニクス株式会社(以下、KEL)、グローバルセキュリティエキスパート株式会社(以下、GSX)で、2024年4月1日に設立された。

現在、日本国内においても有名企業をターゲットとしたサイバー攻撃で大きな被害が生じている。こうした社会課題に対して、セキュリティ業界が一丸となって取り組むために同ファンドは設立された。

記者会見に登壇したGSXの代表取締役社長の青柳史郎氏は、サイバー攻撃の裾野が広がっているので大企業だけでなく中小企業も対策が必要だが、セキュリティ企業と人材は圧倒的に不足していると語った。

不足している理由の一つは、マーケットと世間からの認知度の低さにあると青柳氏は指摘。こうした問題を解決するため、セキュリティ企業を活性化させて業界規模を広げることを狙って、セキュリティ企業が連携してファンドを立ち上げたと青柳氏は説明した。

ファンドの運営を担当するウエルインベストメントの代表取締役社長の瀧口匡氏は、ファンドの特徴の一つとして「コミュニティを作って情報交換が行われる」と説明。コミュニティにおいてファンド運営の情報が共有されるのはもちろん、セキュリティ業界のトレンドに関する議論が行われたり、セキュリティビジネスに関する精緻な情報交換が行われるという。

コミュニティを通じてLP(Limited Partner。ファンドに出資・参画する企業)同士の連携も行われ、セキュリティ業界の成長への寄与につながることが期待されている。

参画が決定しているLP13社の紹介も行われ、各社代表が壇上であいさつした。そこでは「1社だけでは大きな投資ができないので、連携して業界を支えたい」といった思いなどが語られた。

記者会見では経済産業省から賛同メッセージも寄せられるなど、大きな注目を集めている日本サイバーセキュリティファンドだが、2024年秋口には金融機関などの機関投資家のファンドへの参加を募る予定となっている。